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発達障害は深刻にとらえられがちですが……
児精領域に限らず、精神科医療の現場が漫画で描きづらいというお話を聞きました。
私たち児精医の仕事を説明する際、私のイメージに近いものは「謎解き探偵」でしょうか。外来の診察場面では淡々と事実や背景が明らかになってゆくわけですが、家庭や学校では、子供や家族にとって、深刻で時にはド派手なトラブルが繰り広げられているわけです。それら(対人関係の在り方などを含めた外の世界)を診察や治療に持ち込み、子供たちが何に困っているかを見つけて、その謎を解いていくのです。
そこで浮かび上がってくる「問題(行動)」に対して、障害などのラベルを貼るのではなく、子どもや親が納得できることが、解決方法を見いだすためには必要になって来ます。
発達障害についても深刻にとらえられがちですが、私はできることもできないこともある、発達の道筋が乱れている状態という意味で、「発達凸凹」と呼んでいます。その多くは子供にあった生活、教育をしていれば成長とともに良くなっていくものです。漫画にするにあたり、このところがきちんと押さえられないと現実を捉えられません。
児精医を主人公にしたマンガがスタートできたところで、そこまでお手伝いできればそれだけで光栄なことで、自分の長年の夢が叶いました。健闘を祈ります。
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『リエゾン ―こどものこころ診療所―』第1巻は、6月23日(火)に発売される。