4月3日、数学界のある“偉業”が注目を集めた。
京都大学数理解析研究所教授の望月新一による「宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論」についての論文が、数学の専門雑誌『PRIMS(プリムス)』に掲載されることが発表。これにより、35年にわたり未解決だった数学の超難問「ABC予想」が証明されたのだ。
「文藝春秋」6月号では、望月氏と20年来の友人でありIUT理論構築の過程で議論を重ねた経験を持つ、東京工業大学教授・加藤文元氏のインタビューを掲載。IUT理論の基本的な考え方に加え、望月氏の数学者としての才能、知られざる素顔が語られている。
“生まれつきの天才”と言うしかない
加藤氏によると、数学者には「発想力」「高い集中力」「体力」が求められるという。望月氏はどうだったのか?
「望月さんはもちろんこれらの能力を全て備えているわけですが、やはりその数学者としての才能の凄さには説明しがたいものがありました。“生まれつきの天才”と言うしかないのでしょう。何物にも囚われることなく、未知の方法をどんどん思いついて、ズンズンと突き進んでいく。
『どうやったら望月さんみたいな考え方ができるんですかね?』
望月さんの思考回路が気になって、こう質問をしたことがありました。『やればいいんですよ。加藤さんもやってみたらいかがですか』という答えが返ってきましたが、なかなかそうはいかないですよね(笑)」