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無観客試合での影の功労者 ロッテの“エンジェル”柿沼友哉の声を聞き逃すな

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/04

 ザアー、ザアー。東京湾の波の音が聞こえる。無観客試合では今まで聞こえなかった様々な音が聞こえる。緊迫した公式戦の合間に聞こえる波の音がZOZOマリンスタジアムが海の近くに立地していることを改めて教えてくれた。月明かりに照らされながら聞こえるナイターの際の波の音はさらに深みがある。メットライフドームの練習試合では小鳥のさえずりが聞こえた。

 井口資仁監督は東京ドームでのジャイアンツとの練習試合で「外からサイレンの音が聞こえたのには驚いた。雨がドームの天井に当たる音は凄かったね」と振り返った。それほどスタジアムは今までにない静寂に包まれており、いつもは聞こえない音が存在感を示している。その中で男たちは優勝を目指した真剣勝負を繰り返しているのだ。

©千葉ロッテマリーンズ

影の功労者 “エンジェル”柿沼友哉

 この静けさの中、千葉ロッテマリーンズはプロ野球史上初となるバファローズ6連戦6連勝を達成した。チームの8連勝は13年以来7年ぶり。「イレギュラーなシーズンだからこそ、スタートダッシュが大事」とシーズン前に指揮官が公言をしていた通りの展開となっている。

 快進撃の陰の立役者の一人として井口監督はプロ5年目の柿沼友哉捕手の名前を挙げた。正捕手の田村龍弘捕手に続く存在だが、そのベンチでの声を評した。

「頑張っていい声を出してくれている。こういう無観客だから、なおさら声は聞こえるし目立つ。声が出ないとベンチは静かになる。そんな中、柿沼はいい声を出して盛り上げてくれている。ピンポイントで内野手や投手に声を掛けている。それはキャッチャーならではの部分がある」

 爽やかな笑顔の持ち主でチームメートから「エンジェル」とも呼ばれる柿沼。試合に出ていない時はベンチで声を出すことで誰よりも存在感を見せ、チームに貢献している。ピンチの時、チャンスの時、流れが止まった時、的確な声を出しグラウンドでプレーをする仲間たちを奮い立たせ、時には気付かせる。