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2020/07/04

過去には声を出しすぎてドクターストップも

 柿沼にこの事を伝えるとニヤリと笑った。

「声を出すのも大事な仕事だと思っているので、そうやって見てもらえているのは嬉しいですね。今、仲間たちにどんな声をかけるべきか。ベンチで見ていて気が付いた事を伝えるようにしています。いいスイングをしている選手にはちゃんと伝えることで勇気づけられるし、投手もボール球になってもいい球の場合はしっかりと伝えてあげることで後押しが出来ると思います。内野手それぞれにも色々と声をかけます」

 ベンチでの声は子供の時から人一倍、大きく存在感があった。あれは中学校2年生の時、あまりにも試合で声を出し過ぎて、日常生活でまったく声が出なくなった。1週間ほど続いたため、病院に行くと医者から「試合でそんなに大きな声を出すな」とドクターストップがかかるほどだった。それほど、声を出すことに誇りを持ち、プレーをしている。野球を行う上での大事なアイデンティティとなっている。

 ZOZOマリンスタジアムで場内アナウンス担当30年目を迎える谷保恵美さんも無観客での公式戦は初めての経験。ベンチから聞こえる声は新鮮だと言う。「正直あんなに選手たちが声を出し合っているとは思いませんでした。ああいう風に声を出し合い助け合いながらピンチを切り抜けたりチャンスをものにしたりするのだと改めて感じました」と感心する。そして声のプロフェッショナルも「柿沼さんの声はよく聞こえます。よく聞こえる声をしていますね。連勝が伸びるほどにさらに元気になっている印象でした」とひと際、存在感のある声に気が付いていた。 

 今年のマリーンズはとにかく明るく、ベンチが盛り上がっている。その音量は無観客試合も相まって余計に耳に入る。冒頭に書いた東京湾の波の音が聞こえるのはほんの一瞬の静寂が訪れるゲームの合間だけだ。それ以外はマリーンズベンチからの叱咤激励がスタジアム狭しと木霊しチームを勝利へと導く。声の力、恐るべしだ。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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