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家庭料理にルールはない

 一食につき、ご飯とお味噌汁さえあればそれで十分だとする「一汁一菜」という考え方。お味噌汁にも、「これじゃなきゃだめ」という決まった具があるわけではない。

土井 一汁一菜のいいところは、まずくならないところ。味噌汁なんて、濃くても薄くても温かくても冷めてても、みんなおいしいでしょう。それは味噌という自然のものが作り出したおいしさだから。トマトだって自然のものだから毎年味が違う。採れる土地によっても違う。そういうのを「まずい」って否定するな、ということ。

 家庭料理にルールはないんですよ。パスタに味噌汁でもいい。100歳くらいまで生きたわたしの祖父は、ご飯に牛乳かけて食べてましたわ(笑)。わたしがツイッターにトーストを具にした味噌汁をアップしたら「トーストや!」とみんな大騒ぎしたけど、当たり前やろ、という話です。融通を利かして食べればいい。

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土井氏の「一汁一菜」 味噌汁の具はかぼちゃ

コウ 「伝統」ってどんどん変わっていくし、新しいものは取り入れざるを得ないところもある。それは食卓も同じだと思います。これまで、SNSで「ママ友はこんなお弁当を作ってる」とか見たり、ご近所さんはご飯をどうしてるとか、ちょっと周囲の情報に振り回されていたところがあったと思うんです。それが今、コロナで家にこもって家族の時間が増えたことで、外部の価値観から遮断された状態になっている。だからこそ、家族の食卓のスタイル、今の社会にあった食卓というのを話しあって見つけていくチャンスだと思います。

 料理が得意でなければ、食卓の準備をしたりお皿を洗ったりとそれぞれが何か役割を見つけ、家族みんなで食卓を作ることが大切だと話すお二人。

「味つけは食べる人の仕事」「料理はシンプルに、簡単にでいい」など、今、家庭で料理を担う人々の心を軽くする対談「『一汁一菜』のススメ」の全文は「文藝春秋」7月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

出典:「文藝春秋」7月号

※「文藝春秋」編集部は、ツイッターで記事の配信・情報発信を行っています。@gekkan_bunshun のフォローをお願いします。

文藝春秋

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男も料理しよう 「一汁一菜」のススメ