昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

さよならウィーラー、高梨雄平……楽天首位の影でファンをモヤモヤさせるトレード活発問題

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/18

 昨オフ、石井一久GM主導のもと獲得した新戦力たちが大活躍だ。

 FA獲得した鈴木大地は、開幕から23試合で打率.370打点20。金銭トレードで獲得した涌井秀章がハーラートップの4勝無敗。FA移籍・美馬学の人的補償で獲得した、酒居知史も救援陣の一角として安定感ある働きを見せている。アメリカ帰りの牧田和久は、往年のピッチャー鹿取を思わせる連日の登板で、すでに登板11試合防御率1.64。

 今シーズン補強した外国人選手の二人、ステフェン・ロメロとJ.Tシャギワも戦力となりピースとしてしっかりとハマっている。

 23試合を終えて、単独首位。

 2013年以来のリーグ優勝・日本一を予感させる開幕からここまでのイーグルスの戦いぶりにファンは狂喜乱舞……しているのですが、一方でイーグルスファンは、モヤモヤしていることがあるんです。

 モヤモヤの原因は、長梅雨のせいでいくらあっても足りないビニールシートのせい……ではなく、超活発なトレード、のこと。

巨人に電撃トレード移籍したウィーラー ©文藝春秋

単独首位の影でファンの心にあるモヤモヤ

 今週7月14日、左のリリーバーとしてチームを支えてくれていた高梨雄平の巨人へのトレードが発表。6月25日に発表されたゼラス・ウィーラーについで、今シーズン2回目の電撃トレード。石井GMが就任後の2018年オフから数えて(金銭獲得含め)8件のトレード成立。

 選手のことを思えば、出場機会が与えられない選手が飼い殺されている状態のほうが、よっぽど本人のためによろしくない。しかし、ファンとしてはそんなことはわかっちゃいるけど、ただただ複雑。それは、ウィーラーも高梨も、ファンにとても愛されていたMyHERO(選手)であったからこそ。

 ウィーラーが萩の月を手土産に、巨人宮本コーチを訪ねたなんてエピソードをネットニュースでみたり、自身のYouTubeチャンネル「たかなしきっちん」で、牛タンをさばいたりホヤの下処理をする東北魂を感じる高梨の姿をみてしまえば、ねえ……そりゃあ、はあああとため息の一つや二つ、いや五つぐらいつきたくなる。

 私の推しはねー、なんて言いながら、きゃっきゃと応援していたら突然MyHEROが、杜の都から花の都大東京へ旅立ってしまうその唐突感と失恋にも似た喪失感。そして、荒れる荒れるSNSのタイムライン。

 いやなんだか愚痴みたいになってますけどね。

 常勝軍団になるためには、適材適所のトレードや戦力の入れ替えは、ポジティブにとらえるべき。幸いにして石井GMが送り出す選手たちに前向きな言葉を出してくれているところに共感がもてる。チームの強化方針のもと、推しの旅立ちに耐えるためにファンの意識のアップデートも必要なのかなと。

 図らずも高梨がYouTubeで岸王子のために作っていた「ホヤの揚出し」を見ながら、そう思ったのです。

 あれ? そもそもホヤって揚げて食べるものなんだっけ? て。

 この感覚、東北の人にしかわかんないかもなのですが、仙台に生まれてはや42年。ホヤってナマで食べるものですよね? ナマじゃなかったら蒸しだよね!と。そんな常識に囚われて生きてきました。

 しかし先日、楽天生命パーク宮城にいったらホヤが唐揚げになっているし、仙台駅の立ち食いそば屋に入ったらホヤの天ぷらそばが推されてるし。ホヤのこと、気になりすぎていろいろ調べてたらクックパッドでホヤを小洒落たアヒージョで食べちゃうレシピが公開されているし。

ホヤの天ぷらそば。近年、ホヤは揚げて食べるものにアップデートされている ©ハガユウスケ

 ああ、そういえばずんだといえば『餅』だったのに『シェイク』になって新登場したのは、いつからだっけかと。

 ずんだはシェイクで、ホヤはアヒージョ、そんなアップデートされた令和の仙台名物。

 オコエも田中和基もトレード候補か!? なんていう日刊ゲンダイやデイリー新潮のちょっぴりいじわるな記事をみて心惑わされながらも、チームは順調に勝ち星を重ねていく。そして本当に推しが新天地に向かうことになったとしても、気持ち割り切りMyHEROにエールを送る。

 それが強くなっていくイーグルスを応援する私達ファンたちに課されたメンタルの鍛えられ方、すなわちそれが心のアップデートではないかと。