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さよならウィーラー、高梨雄平……楽天首位の影でファンをモヤモヤさせるトレード活発問題

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/18
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そして右の和製大砲というロマン枠・内田靖人

 そして、内田靖人である。

 福島県いわき市生まれ。

 高校通算37本塁打をひっさげ2013年ドラフト2位で指名されたプロ7年目の25歳。

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 東北のおばあちゃんウケするであろう藤井聡太棋聖にも似た柔和なルックス。小学校の時に父親をなくし女手一つで育ててくれた母親を楽させるために「どうしてもプロに行きたかった」というハングリーさと「東北を元気づけたい」という心優しきハートの持ち主。

 そして野球選手として最も大きな魅力は、右方向へ高く強く大きな放物線を描けること。

 右の和製大砲というロマン枠が大好きなボクのMyHERO。

 そんなロマン度濃い目の内田の虜になったのは、オープン戦首位打者で開幕一軍スタメンを掴んだ2年前。結果その年は公式戦58試合12本塁打25打点にとどまったもの、高卒出身、チーム生え抜きの日本人右打者としてはじめて2ケタ本塁打を打ち、いわき湯本の熱源のごとく覚醒寸前まで輝いた内田。

 昨シーズンは怪我で泣き、わずか2試合の出場に留まった。今シーズンはある意味正念場と感じたのか内田は、自主トレから浅村栄斗と行動をともにする。

 かつて山川穂高も入会していたという球界屈指の和製大砲育成道場「Team浅村」に入会志願。キャンプ時には「山川にも負けないんじゃないか」と浅村も惚れ惚れする打球を連発。緊急事態宣言後のコロナ禍においては自炊レベルも上げ、いつのまにか豚キムチが得意料理となっていた。

 そして、チームとファンの期待をのせ、開幕一軍の切符を掴む。

 しかし、現実は厳しい。

 レギュラーシーズンここまでは、主に代打要員で9試合出場。18打数4安打、打率.222。練習試合終盤でみせた激しい銀次とのレギュラー争い。ベストナイン2回の男の壁は高く、レギュラーを掴み取るにいたってない。

 そんななかでの、先週の対ソフトバンクホークス6連戦。

 チームは後半3連敗を含む2勝4敗で今シーズン初めての同一カード負け越し。ギータのサヨナラホームランが飛び出た4戦目以降はホークスに投打ともに飲まれて試合が進んでいった。

 11日の第5戦目。8対4でチームは負けてしまった。その試合で唯一あった希望の光。

 それは、広いPayPayドームの右中間に力強く放った内田の3ランホームラン。

 きたー!!!と思わず叫んだ今シーズン第1号。

「奇跡ですね」とホームランをうけてコメントをするウッチーに、「いやいや奇跡じゃないよ、ウッチーの努力と才能だよ」と思わず謎の母親目線にさせてしまうようなそんなボクのMyHERO。

 さっきはファンも心のアップデートが必要だとか、なんだかカッコいい横文字つかってしまったけれど、いやもしこれ今、内田がシーズン中にトレード放出されたら発狂しそう。心の準備できないからせめてオフにしてよ!とか、SNSで目も当てられないほどグチグチいってしまいそう。

 ウィーラーや高梨のファンもきっとそんな気持ちだったに違いない。割り切れない思い、意識高い雰囲気で簡単にアップデートとか言ってごめんなさい。

 そんなわけで、

 がんばれ! 内田! お前はずっと仙台にいてくれ!

 と心で叫びながら、今日もベンチスタートでときどきしかない内田の出番をずっと待っている。

 シーズン中のトレードは、ほどほどに。

 びっくりしてホヤ吹き出すから。

◆ ◆ ◆

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