もちろん、病院経営の無駄を削った上で立ち行かないのなら納得できるのですが、最近新しく教育棟が建設され、理事長の部屋を6億円もかけ改修したという話も出ている。その承認は、コロナ真っ只中の4月22日だったと労働組合の報告で知って、言葉を失いました」

看護師の5人に1人が退職意思

 労働組合側の調査によると、約2000人いるという同病院3施設の看護師のうち、400名以上が退職の意思を示しているという。

「今回のボーナスカットが決定打になり、辞めることを決めたという人が大半です。私の周囲でも就職サイトに登録したり、次の病院を探していたりする動きは実際にあります。ところが、6月25日に開かれた団体交渉の場で、病院側の弁護士は『深刻だとは思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッド稼働率が落ちているので、仮に400名が辞めても何とか回るのでは。最終的にベッド数に見合った看護師を補充すればいいこと』と発言したそうです。でも、今ようやく患者さんが戻ってきている状態なので、もし本当に看護師が大量に辞めたら、第2波がきたときに対応できないかもしれません」(Aさん)

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 看護師のBさんも憤りと病院への不信感を露わにする。

「国から医療従事者に対しての慰労金が1人当たり最大20万給付されることになりましたが、そのお金は病院に入った後に個人に支払われる。学校側は、8月に何らかの手当の支給を考えているとしていますが、詳細は分からない。職員たちは『国の慰労金を病院からの手当として払うのでは』とか、『病院はその20万円も渡さないのではないか』と疑心暗鬼になっています」

©文藝春秋

 大学側にボーナスカット、理事長室の6億円改修、400人を超える退職希望者、「足りなければ補充」発言などについて事実関係を問い合わせると、以下のように回答した。

「今回の質問につきましては回答を控えさせていただきます。ご希望に添えず申し訳ございません。ご理解ご了承いただけますよう、お願いいたします」(学校法人東京女子医科大学総務部広報室)

 最前線でコロナウイルスと戦っている看護師たちが報われる日はくるのか。