満州軍官学校を卒業し、知日派としても知られた“伝説の韓国軍大将”白善燁(ペク・ソニョップ)氏が、7月10日に死去した。99歳だった。昨年、元自衛隊陸将の福山隆氏は、文春オンラインに白氏との交流について寄稿していた。年齢や日付、肩書き等は掲載時のまま、同記事を再公開する。(全2回の2回目/前編から続く

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 冷戦構造崩壊に伴い、私が防衛駐在官として勤務していた1990年~1993年までの間、韓国はソ連(ロシア)、次いで中国と国交を樹立した。このような戦略環境の中で、韓国政府・国防部首脳の中には、従来のアメリカ一辺倒の安全保障戦略を見直し、「米国離れ」を模索し始める動きもあったが、白善燁(ペク・ソニョップ)大将はこのような動きには極めて批判的であった。

白善燁(ペク・ソニョップ)退役大将 ©文藝春秋

「福山さん、私のように米国と共に朝鮮戦争を戦い、その後も韓米安全保障関係の強化に尽力して来た者は、韓米安保関係が韓国の生存にとって何ものにも代え難い程重要であることを身に染みて理解している。韓米安保関係は、国防のみならず、政治・経済などにとっても計り知れないほどヴァイタル(生命)である。朝鮮戦争をよく知らない世代になると、このことを良く理解出来ない者が増え、行く末が心配だ」

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反米路線に進み始めた韓国

 白大将の心配は的中した。その後、2003年には盧武鉉政権が誕生し、反米的な政策が浸透した。2017年に発足した文在寅政権が盧武鉉政権の流れを汲んでいることは、言うまでもない。

盧武鉉大統領 ©文藝春秋

 これは我々にとっても他人事ではない。白大将が指摘された「韓米関係の重要性」を「日米関係の重要性」に置き換えれば、日本にとっても至言と言うべきであろう。中国が台頭する中で、今こそ日米関係の重要性を再認識すべき時が来ている。