3600万円の新築マンションを購入して後悔
新築マンションを買った営業職の高田理子さん(仮名・36歳)は、今では購入を少し後悔していると話す。
「大学進学で上京して、就職してからもマンションで一人暮らしをしていたんですけど、毎月の家賃がバカらしく思えてきたんです。その頃住んでいたのは、都心駅チカのマンションで、家賃は8万5000円。毎年約100万、ただ消えていくお金を払うならローンを組んで買っちゃおうかな、と。それが29歳の頃の話です。物件は、都内の新築マンションで価格は3600万円。初期費用の頭金200万円は、自分の貯金から100万円、あとは実家から100万円出してもらいました。30年ローンで、毎月の支払いは約10万円。賃貸のときよりも少し高くなりましたが、マンションが自分のものになった手ごたえがあり、前向きに暮らせていたと思います」
営業の部署内で業務が大きく変わり、引き継ぎの最中にコロナの影響が大きくなっていったという。
「営業もできないので成績が上がらず、固定給は出ますが、インセンティブを取れないのがかなり痛いですし、ボーナスも減額か、最悪ゼロでしょう。だんだんと住宅ローンが重くのしかかってきそうです。マンションを購入した頃に付き合っていた彼氏とも30歳をすぎて別れてしまい、やっぱり結婚したいという思いはあるのでしばらく前から婚活を始めていました。紹介所に高い入会料と、月々の会費を支払ってきましたが、コロナの影響もあってか今は新規の紹介がなかなか……。うちのマンションはファミリータイプなんですけど、まわりは家族ばかりだし、広い部屋に一人でこもっていると孤独を感じましたね」
新型コロナの感染拡大によって、当面の予定やともすれば人生設計に狂いが生じた経験をした人は少なくないだろう。「住宅ローン」との向き合い方から、それぞれの人の悩みや葛藤が垣間見える取材だった。