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ペッパーランチの売上高は何%だった?

 直近の売上高の内訳を見ると、ペッパーランチ事業の売上高は全体の13%しかない。分社化によって移管した資産と負債も全体の10分の1にも満たないので、ペッパーランチ事業売却後も、事業規模にそれほど大きな変化はない。

 とは言え、ペッパーランチ事業は毎年12億~13億円の利益を稼いできた安定事業であり、利益率は13.9%もある。いきなり!ステーキ事業の3.4%とは比較にならないくらい、収益性が高い。

 その他の事業もあるが、わずか数千万円の利益しか出ていない小粒の事業だ。したがって、今後はいきなり!ステーキ事業のみに依存した一本足打法となる。

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2019年12月期の売上高内訳。いきなり!ステーキは85%、ペッパーランチは13%程度。一方で、ペッパーランチは毎年12億~13億円の利益を稼いできた安定事業だった

 このコロナ禍において、ペッパーフードサービスはいきなり!ステーキ事業のみで生き残れるのだろうか。

114店舗閉鎖&200人リストラ 今後のカギは「回転率」

 高級ステーキ肉を割安価格で提供するというコンセプトの業態なので、必然的に利益率は同業他社と比べて低い。その代わり、回転率の高さがこの事業の強みだ。現に、直近の総資産回転率は2.4回もあり、飲食業の中でも抜群に高い数値である。

 しかし、裏を返せば、回転率が低迷すると十分な利益が得られないことを意味する。

 緊急事態宣言が解除されたとはいえ、外食需要はまだまだ回復していない。お客さんがお店に足を運んでくれなければ、いきなり!ステーキの屋台骨である回転率は上がらない。

 そう考えると、いきなり!ステーキは、数ある飲食業の中でも最も不利な状況に立たされていると言える。

 窮地を脱するため、とにかく今は徹底した事業のスリム化が必要となる。売上を大幅に減らしてでも利益が出るような縮小均衡が、事業存続の鍵を握る。

 実際、米国から完全撤退し、国内も114店の店舗閉鎖と希望退職者200名の募集を行うなど、大胆なリストラに舵を切る方針を打ち出した。計算すると、店舗数、正社員数ともに、2018年12月末時点と同程度の数となる。2018年12月期は38億円の営業黒字だったため、当時と同じ規模に戻れば縮小均衡するという“読み”なのだろう。

2017年、米NYに海外1号店。しかし昨年末、2年半で撤退することに…… ©AFLO

 しかし、経営環境は当時と大きく変わっている。まだまだスリム化が足りないのではないだろうか? さらなるリストラが必要になることも十分考えられるだろう。