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2020/07/17

日本中の人が「東京都民」でないことを証明しなければならない?

 そもそも東京都に居住する人の旅行だけを対象外とすることは技術的に可能なのだろうか。

 出発地が東京であるか否かで判断するのであれば比較的やさしい。ツアーであれば東京都発着のものを割引の対象外とすればいいだけだからだ。

 鉄道を利用するツアーの場合、東京駅や品川駅発のものは割引の対象外となり、新横浜駅発や大宮駅発の場合は割引の対象とすればいい。飛行機の場合でも羽田発着であれば対象外、成田発着の場合は対象とすればよい。

 しかし、今回のキャンペーンでは、運転免許証などで旅行者が東京都民でないことを証明しないと割引できないということになった(7月16日時点)。北海道から沖縄県まで日本中の人が「東京都民」でないことを証明するために、旅行時に運転免許証や健康保険証などを携帯して、宿泊するたびにホテルや旅館で提示する必要が出てくるかもしれない。

 日帰りツアーの場合は集合時に全員の身分証明書を提示することになるのかもしれないが、持参し忘れた場合どうするのだろうか。

©iStock.com

旅行会社「現場はかなり混乱しています」

 東京都内の大手旅行会社で営業職をつとめるK氏は今回の「東京都除外」について次のように指摘する。

事務局が決まったばかりでまだ詳細も発表されていないなかで急に開始が早まったうえ、東京除外の話が飛び込み、現場はかなり混乱しています。かりに申し込み時に身分証明書の提示が必要となった場合、カウンターで参加者全員の身分証明書を提示してもらうわけにもいかないですし、オンラインの場合は各社システムで対応できないでしょうから、もっと大変なことになると思います。個人情報保護の問題もありますし……」 

 Go To トラベルキャンペーンについては、すでに宿泊施設について、

・フロントに仕切り板をつける
・風呂や食堂などでは人数制限や時間制限をする
・ビュッフェは個別に提供する

 などの感染防止策を義務づけ、それを国土交通省が確認することを明らかにしているが、民泊も含めて全国の膨大な数の宿泊施設をどのようにチェックするのか、また衛生に関する専門機関ではない国土交通省がチェックすることがはたして適切なのかどうか疑問の声があがっている。

©iStock.com

 もともとわかりづらいキャンペーンが、「感染防止策」そして「東京除外」と次々に追加される条件によってさらにわかりづらくなってしまっているのが現状である(なお、東京都も感染が落ち着いたらキャンペーンの対象とするようだ)。

 東京除外は上記のような「抜け道」も想定される。この状況で果たして感染予防にどれほどの効果が見込めるだろうか?

(※7月17日時点の情報をもとにしています)

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