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「吉原では1日6~7万稼げていたのに蒲田では2万円」……“夜の街”で働く人々の言い分と懐事情

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毎回40~50万円落としてくれた“エース”の女医さん

「僕の“エース”(一番の太客)の女医さんは、かつて店に来るたびに40~50万円、月2回で80~100万円を落としてくれていた。一昨年12月の誕生月は、1カ月に3回来てくれてシャンパンタワーで450万円。ルイ13世(ブランデー)で250万円。その他諸々で合計1100万円も使ってくれた。でも、今年1月頃から来なくなり、2月には『もう歌舞伎町には行けない』と宣言された」

 それでも“エース”は3月に一度来店し、70万円を支払っていったという。

「彼女のような医療従事者が太いお客さんだった僕の売上は、今年はその70万円のみ。ナンバー2の役職にある僕ですら、この惨状です」(同前)

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 店は緊急事態宣言を受け、4月上旬から5月中旬まで休業したという。

「休んでいる間は当然、給料ゼロ。その後、毎日出勤していても、客が来ないと月給は18万円ほどです。そこから家賃、携帯代、ヘアメイク代、研修旅行の積立金など7~8万円を引かれると約11万円。さらに指名本数ノルマなどの罰金を15万円くらい引かれるので給料はマイナスです。

 ホスト全体のうちの8割は、月3万円しか手元に残らない。若い子は西新宿や大久保のアパート、通称“タコ部屋”に3~4人の集団で住まわされるんだけど、その家賃が月3万円。彼らは金も無いし、店に借金もあるので、逃げようにも逃げられない」(同前)

熊本の風俗に出稼ぎして50万稼いだ

 夜が更ける頃、前出のA子さんはこう話した。

「6月末、熊本の風俗に1週間出稼ぎに行って50万稼いだんです。ホストの売掛金(ツケ)が48万あって、今から払いに行かないといけないんですよ。熊本で稼いできた分は、それで全部消える。担当(ホスト)がケアしてくれないと『何のために働いているんだろう』って思っちゃうけど、少しの時間でも電話とかしてくれると、また風俗を頑張れますね」

 彼女は仄かに頬を赤めると、足取り軽く夜の街の深みに飲み込まれていった。

「吉原では1日6~7万稼げていたのに蒲田では2万円」……“夜の街”で働く人々の言い分と懐事情

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