(3)真実を曲げてでも自分を正当化する
しかし、これだけでは終わらなかった。
途中から道の選択にクレームを入れてきた。やれこの道は遠回りだ、やれこの通りは信号の流れが悪いだの。結局、間違えてもないのに「ほら、道間違えやがって!」と吐き捨てタクシーを降りた。「ほら」と言ったのだ。
嘘の帳尻を合わせてきたのだ。彼にとって嘘が嘘ではなくなっているのだ。頭がいいのか、ずるいのか。とてもたちが悪い。
決して非を認めず、後付けだろうが自分を正当化する。そして、何より厄介なのが、自分自身を優秀だと思っていることだ。このような人が部下ならとても厄介だと思った。
見抜けるか! 信頼できない部下
タクシードライバーは乗客を乗せると同時に五感をフル稼働させる。
乗客を乗せた瞬間、まず目を見てその人物を判断する。「目は口ほどにものを言う」というが、目を合わせない、目がすわっている、視点が定まらないなど、そういう乗客のトラブル率は数段に高い。そして同じくらいにトラブル率が高い傾向にあるのが、見下した命令口調を発する人だ。対する人によって態度を豹変させるタイプ。
先に述べたエピソードの2人は、目を合わそうとしなかったし、見下す口調を発していた。また、その他に2人にはもう1つ共通する行動があった。それは、タクシーに乗った時にわざわざ奥の運転席後ろの席へと座ったのだ。ドライバーから見えないルームミラーの死角に入ったのだ。やましい事をしていると自覚しているのだろうか。このように、この手の性質の人は無意識的に嘘を隠す行動をとる傾向がある。
コロナ禍でテレワークが推進される中、部下とのやり取りは、メール、LINEなどのオンラインでのリモートによる「報告・連絡・相談」が主流になりつつある。普段とは違う角度から接することで、部下のクセや仕草を発見できる新たな機会なのかもしれない。
部下の無意識的にする行動から目を離さないこと、そして、コロナ禍で厳しいと思うが、少しの時間でも離れた距離でも部下と同じ空間に身を置き五感を働かせること、これが信頼できない部下を見抜く術である。