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実兄を強制入院させた疑惑をめぐり裁判も、逆転無罪へ……「コリアン・ドリーム」を体現する「韓国のトランプ」は何者か

「GSOMIA」に反対する対日強硬派

2020/07/24
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権力を濫用し、実兄を精神科病院に強制入院させた疑惑も

 城南市長を2期務めた後は、韓国全人口の約4分の1に当たる人口約1372万人を有する京畿道知事となり、順風満帆かに見えたが好事魔多し。女優とのスキャンダルが報じられるなど身辺は常に騒がしかった。中でも 自らも“地獄か”と評したのは、知事職をかけた裁判だ。これは、当時、城南市長だった権力を利用し、実兄を精神科病院に強制的に入院させたという疑惑を巡るもの。2018年の京畿道知事選挙で取りざたされた。

 市長の職権乱用部分は無罪となったが、知事選候補のテレビ討論で「実兄を精神科病院に強制的に入院させたことはない」とした答弁が虚偽事実の公表に当たるか否かが問われ係争中だった。1審の無罪から一転、2審では有無判決となり、上告した裁判で有罪となれば、知事職が剥奪される危機に陥った。 

 しかし、7月16日、最高裁判所が7対5で無罪判決を言い渡すと、起死回生劇の幕が上がった。その第一声が冒頭発言だ。「土の匙」は、韓国でいわれる「スプーン階級論」で金、銀、銅に続く所得の低い層を指す言葉。財閥一家は金の上をいく「ダイヤモンド匙」ともいわれる。前出記者は言う。 

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「ソウル大学法学部卒、東亜日報入社という常にエリート街道にいた李前首相と庶民出身でその気持ちが分かる自分は異なることをアピールしたのでしょう」 

エリート街道を邁進してきた李洛淵前首相 ©getty

「高価なマンションを持つことが罪なのか」あえての逆張り

 李在明知事はその後もジャブを繰り出した。高騰するソウルのマンション価格を抑える不動産政策で右往左往する政権を尻目に、「(高価な)マンションを持つことが罪なのか」と言い放ち、これには保守派からも、「進歩もたまにはまともなことをいうじゃないか」という声も。言いっぱなしではなく、代替する不動産政策にも言及していて抜かりがない。

 そして、セクハラ疑惑を抱えたまま亡くなった故朴元淳ソウル前市長と、セクハラで辞任した呉巨敦前釜山市長の来年(2021年4月)の補欠選挙についても早々と「与党(共に民主党)は候補者を出すべきではない」と話し、存在感を見せつけた。2人の前市長は共に「共に民主党」所属だった。別の中道系紙記者は言う。 

「与党内部でも信用回復のためにも候補者は出すべきではないという意見がありましたが、互いに囁くばかりだったのを李在明知事が一刀両断した。これは正論で、党内では物議を醸しましたが、世論は“サイダー李在明”と好反応。こうした機を見るに敏なところは、何かことが起きても明言を避けて『厳重に見ている』を繰り返し、 “厳重李洛淵”というあだ名がついた李前首相と対照的です」