間違った努力をしないためのロードマップ
間違った努力をしないためには、なるだけ明確で合理的な目標と、それを実現するための方法論を考える必要があるのです。どっちか片方では駄目で、この船はどこに向かうのかを決める目標と、この船はどう進むのかという方法論が両方あって初めてマネージメントで、そこに営業がいたり経理法務がいたり技術者がいたり高校球児がいたりキャリア官僚がいたりするんですけど、残念なことにトップが一番「休まない」ので、ビジョンを掲げ目標を考える時間がないようにも見えます。ああ、なんで日本のトップはこう忙しいのでしょう。
突き詰めれば、組織のトップは「自分のしたいことはなにか」とか「この組織で何を実現したいと自分で思っているのか」を整理できていないことが多いのです。お前、高校野球の監督をしているけど、お前の人生の中で高校球児はどういう位置づけなんだ? とか、甲子園に出場して優勝を目指したいのかとか、しっかりとしたところから逆算して「教育重視でみんなが良い青春を送れるような野球部にしよう、であればどういう練習にするべきか」とか「甲子園で優勝したいのであれば予算もちゃんとしたコーチも必要だ、ではどういう選手がやってくる高校であるべきか」というロードマップになっていくはずなんですよね。
でもたぶん、忙しすぎて考えるヒマがない。あるいは、考える習慣がないので能力が追い付かない。だから、結果が出ないと100メートルダッシュ100本だ、お前ら頑張れという指導しかできなくなってしまう監督が出るんだと思うんですよね、自分がイケてないので組織に結果が出ないことを部下の責任に押し付けることができるから。
むしろ、高校でも大学・社会人でもプロでも練習の量を減らし、テーマをきちんとセットし、身体を作り、クリアすべきテーマやハードルを設定しながら、全体のマインドを個人・組織ともに作り上げる必要があるわけです。なぜ試合でそういうプレイが必要かを考えるのも、いま目の前の営業で取り組んでいることを進めるために、何を心掛けるべきかを悩むのも、人が何かに取り組み実現するために考えるというプロセスが必要だからなんですけどね。
あなたも無駄な努力を強いられていませんか
思い返せば、組織がうまくいかないのはトップのビジョンがないからだ、俺たちを一体どうしたいんだ、と愚痴り憤慨している人は多いです。読者であるあなたもそうかもしれません。
でも、良く考えてみてください。10年前、あなたはいまの人生をどこまで予測できてましたか。意外と思ってもいなかった人生を歩んでいるかもしれません。
10年後、あなたはどういう人生を歩んでいると思いますか。知らず知らずのうちに、誰かのマネージメントの下にあって、目標や仕事が降ってくるのを待っているだけでは、自分の人生をだれか他人に預けていることになるのです。
高校球児は、監督が「やれ」ということになかなか逆らえない存在です。だから、試合に負けて100メートルダッシュ100本という理不尽な練習でも耐えなければならないのですが、ひょっとして、あなたも同じ理不尽なポジションにいて、無駄な努力を強いられていませんか。