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フランス近代絵画界のスター・モネとマティスは「絵」に何をもたらしたのか

アートな土曜日

2020/07/25
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 モネよりも世代が下のマティスは、印象派がもたらした光への意識や、セザンヌら後期印象派と呼ばれる画家たちの「人はどう外界を捉えているか」といった視覚の探究の成果を踏まえて、形態と色彩の調和を目指すことにした。

 その歩みのなかから、窓のある室内風景などお得意のモチーフが生まれ、画面には目も眩むような強烈な色合いが出現するようになり、晩年には色紙を切り貼りした切り紙絵の手法にまで至るのだった。

アンリ・マティス《赤い室内の緑衣の女》1947年 油彩/カンヴァス 72.7×60.4cm ひろしま美術館蔵
アンリ・マティス《ミモザ》1949年 切り紙絵 151.3×93.0cm 池田20世紀美術館蔵

 今展ではモネとマティス、互いの作風をよく示す作品が数十点も集められ、鑑賞できるようになっている。それぞれ存分に「絵画上の冒険」をしたふたり。残された作品を比べて観ると、やはりその違いが際立つけれど、結果的にどちらの画面にも親密さが溢れている点だけは共通していると気づかされる。

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 箱根の自然が織りなす豊かな形態や色彩とともに、二大巨匠が生み出した美の精華をじっくり味わいたい。

フランス近代絵画界のスター・モネとマティスは「絵」に何をもたらしたのか

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