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インタビュー中に感じた人柄の良さ

 マルティネス投手の試合中の姿は野球への、そしてチームメイトへの熱い思いでいっぱいだ。

 登板中は、マウンドから戻るとベンチの後方一番右端に座り顔の汗をタオルでぬぐう。そしてユニフォームの上から長袖のチームパーカーをすっぽりと被る。イニングごとに必ず着る。この作業の間に通訳を交えてキャッチャーとの話し合いもほぼイニングごとに行う。

 ベンチにいる時は応援に徹する。いいプレーでは腕を高く上げ、惜しいプレーにはこぶしを振り下ろして悔しがる。リクエスト検証となればファンと一緒に「セーフ!セーフ!」と叫ぶことも。

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 マウンドにいる時は野手の好守備にはわかるようにと大きく喜びのアクション、エラーがあった時は気にするなと小さく合図する。

 どこを切り取っても、どんなスローモーションで見ても、完璧なマルティネス投手。だからこそ、昨シーズンは責任感のある彼にとっては苦しかった。

 オープン戦で痛めた右前腕、一時はアメリカに戻って検査やリハビリもしたけれど、5月には再来日していた。ご家族も後を追って日本にやってきて、彼を支えた。

 チームに帯同しながらも、結局、昨年は1試合も投げることが出来なかった。野球人生の中でもこれだけ長く投げられなかったのは初めてだったという。

 それでもファイターズはオフになるとすぐにマルティネス投手と今季の契約を結んだ。本来のピッチング技術はもちろん、彼の人柄も大きく作用しているような気がする。

 今年の春、コロナの影響でオープン戦は無観客になりつつもまだ予定通りの開幕と思われていた時期、マルティネス投手に初めて単独でインタビューする機会があった。この時、とても驚いたのと同時に彼の人柄をより感じることがあった。彼は私の顔を見てずっと話してくれるのだ。これは実は外国人選手との対談ではとても珍しいこと。たいていの場合は通訳に向かって答えることが多い。

 マルティネス投手も来日当初はそうだったと話す。でも間もなくして、それは聞いてくれている人に対して申し訳ないと感じて、英語が通じないとわかっていても相手の目を見て話すし、日本語は理解できなくてもインタビュアーの顔を見て質問を聞くと教えてくれた。

 最初は驚いた私だったが、そのうちに、わからないなりにも笑ったり相槌をうったりしていて、取材というよりも、ゆったりと会話をさせてもらっているような気になった。彼のファンは関係者にも非常に多い、その理由のひとつを感じさせてもらった。

 この原稿が出る8月5日はマルティネス投手の誕生日だ。30歳という節目を日本で迎え、ローテーション通りならば今夜はバースデー登板となる。

 どこを切り取っても完璧なマルちゃんの完璧な笑顔が見たい。

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