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新作『プリンセス編』でも、ひたすら転がされる

 新作の『プリンセス編』の舞台はマレーシア。世界屈指の富豪レイモンド・フウが逝去し、10兆円とも囁かれる遺産が子女の3姉弟ではなく誰も存在を知らなかった隠し子ミシェル・フウに相続されることに。ダー子は身寄りのない少女コックリ(関水渚)をミシェルに仕立て、自身も彼女の母を装ってフウ家に入り込むが、その前にミシェルの存在など許すわけがないブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)の3姉弟と、フウ家を守ることに命を賭ける執事トニー(柴田恭兵)が立ちはだかる。

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』予告

 騙す者も、騙される者も、観ている者もひたすら転がされる、なにもかもが容易に信じられない展開。画面に映るもの、出てくるキャラクター、ちょっとしたゲスト、耳に飛び込んでくる台詞、すべてがクライマックスに繋がっていくワクワクするような緊張感。シリアスになったかと思えばコミカルに転じる、キャストが織りなす千変万化な演技の応酬。スクリーンに映し出されるクアラルンプールやランカウイ島といった風光明媚の地の数々も、大ヒットした前作に負けるわけにいかないという意気込みがひしひしと感じられる仕上がりだが、それでも目を惹きつけるのがジェシーだ。

ダンスシーンと、ダー子の「死ぬんじゃないよ」

 世界中から富豪やセレブが集まるフウ家の玉璽授与パーティーに、なにかしら獲物を釣り上げられると考えたのかジェシーも参加。そこでダー子と出くわしてダンスをする羽目になり、憎まれ口を叩き合いながらも流麗に踊ろうとする姿は絢爛豪華な世界を舞台にしたコンゲーム映画に相応しい軽妙洒脱を極めたシーンといっていい。

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 長澤まさみも〈ジェシーと一緒にダンスをしながらやりとりをするところは練習時間も少なくて大変ではあったんですが、やっていて楽しかったです。三浦春馬くんとは前作でもご一緒させていただいて気心の知れた仲になれていたので、安心して一緒に取り組むことができました。春馬くんはもともとダンスがとても上手なので、リードしていただきましたね。〉と、『プリンセス編』パンフレットでも語っており、その楽しさが見事に反映されている。

新旧作で、赤いスーツ姿を披露(【公式】『コンフィデンスマンJP』より)

 また、その登場も単なる“賑やかし”などにはなっておらず、ダー子の計画に深く関わっていてしっかり見せ場もさらっており、「ジェシーってさすがだな」と唸らずにはいられなくなる。

 エンドクレジット後に、ダー子が銀ちゃん、ボクちゃんがヤスに扮して繰り広げる『蒲田行進曲』“階段落ち”のパロディが繰り出される。そこでダー子が放つ「死ぬんじゃないよ」というセリフ。階段を転げ落ちて満身創痍になったヤス=ボクちゃんに向けられたものだが、今となってはどうしてもジェシーのことが思い出されてならなかった。

三浦さんは、〈今回もジェシーとして本当に楽しく『コンフィデンスマンJP』の世界で暴れさせていただきました。もし次回があれば、また参加できればいいなと思います。〉(『プリンセス編』パンフレット)と語っていた。 ©︎AFLO

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 7月23日、座長の長澤まさみは、初日舞台挨拶の最後に「この世界がいつまでも愛され続けるといいなという風に思いますし、コンフィデンスマン、これで最後になるのかどうかわかりませんが、過去作も、今回の作品もずっとずっと、たくさんの人に見ていただけるように、これからもコンフィデンスマンとして頑張っていきたいなと思います。本日はどうもありがとうございました」と締めくくった。