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 元々、一国二制度は、鄧小平が1980年代に台湾統一のために考え出した構想で、後に香港に適用されたものだ。香港デモが激しさを増す中で、台湾では「今日の香港、明日の台湾」というフレーズが急速に広まっている。

 6月30日、台湾総統の蔡英文は、香港国家安全維持法の成立を受けて、「一国二制度が実行不可能であることが証明された」と語り、自由や人権、民主主義を守るために努力する香港市民を引き続き支援していくことを強調した。

対中強硬派の蔡英文

日本近海にもミサイル発射

 こうした台湾内の声を受け、いま、中国軍内では武力統一を求める声が急速に高まっているのだ。

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 習近平は2018年3月に「2期10年」だった国家主席の任期を撤廃している。ただ、現在67歳という習の年齢を考えると、3期目が終わる2028年には引退する可能性が高い。筆者はそれまでに台湾統一を狙う可能性が高いとみている。

 はたして、習はどんな戦略で台湾に侵攻するのか――実は、これについて中国は1990年代から詳細な「シナリオ」を作っている。中国軍の内部資料には、その戦略が克明に記されており、習が国家主席に就任してからも、国際情勢に応じてアップデートが繰り返されてきた。

 筆者が「文藝春秋」8月号及び「文藝春秋 電子版」に寄稿した「習近平の『台湾併合』極秘シナリオ」では、複数の内部資料に加え、筆者が参加した米国や日本政府、研究機関などが主催した「ウォーゲーム(作戦演習)」で得た知見を元に、その「シナリオ」を再現している。

 中国軍の文書では、台湾への侵攻に当たって日本の近海にミサイルを発射することも明記されている。有事に際して日本がとるべき対応を考える上でも、ぜひ一読してほしい。

出典:「文藝春秋」8月号

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文藝春秋

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習近平の「台湾併合」極秘シナリオ