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名字を変える男性は、褒められる。しかし女性は“当たり前”とされる
「だからと言って女性の方に合わせて、苦痛を男性に押し付けるのはおかしいじゃないか」という意見もあります。でも、そういう風に感じた方には、これまで長い間、女性はその苦痛を一方的に負わされてきたということについて考えてみるのもいいかもしれません。
少し視点を変えて考えてみましょう。
妻の名字に変更する男性は「情けない」という方向ではなく「優しい夫だね」「先進的な考えを持っているんだね」と高評価を受ける場合も多くあります。たしかに、“普通の結婚”という風潮や家制度の価値観が色ごく残る社会で、それにとらわれず妻の名字に変えた男性には、好印象を持つ方も多いでしょう。
ならば、なぜ現在進行形で名字を変えている9割以上の女性は特段褒められることがないのでしょうか?
ここには、育児に積極的に参加する男性が“育メン”といってもてはやされるのと同じ、気持ちの悪さを感じます。「妻が名字を変える・育児をする」ことはあまりにも当然なことで、そこの苦労や負担は語られることがない。どちらが負担するにしてもその労力は等しいはずなのに、女性側の負担はあまりにも当然視=軽視されているのです。
男性がその負担を負わされることに違和感を持つことができるならば、現在の多くの女性がその負担を負わされているということにも、同じく違和感を持つことができるのではないでしょうか?
もちろん、「どちらかが意に反しても名前を捨てなければいけない」という状況は大きな問題で、だからこそ夫婦別姓という選択肢が作られるべきだと考えています。