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「女の子がこんな遅くまで遊んでちゃだめでしょ」

 タクシーに一人で乗ると、いいことがない。そう感じているのは私だけかと思っていたのですが、女性の友人たちに「この間、こういうことがあって」と切り出すと「実は私もさあ」と、次から次へと「性別」を理由に侮蔑的な扱いを受けたエピソードがでてくるでてくる。

 仕事で夜遅くなった日の帰り道だけタクシーを利用している友人は、あるとき50代半ばごろの男性ドライバーから「女の子がこんな時間まで遊んで……」と説教をされたといいます。疲れていたので適当に受け答えしたり聞こえないふりをしたりしていても、「結婚してるんでしょ? 旦那さん、心が広い人でよかったね、感謝しないとね」などと話しかけてくる始末だったようで、自宅までの10分間が地獄だったことは想像に難くありません。

写真はイメージ ©iStock.com

 友人たちからはほかにも、服装についてしつこく言及されたり性的なからかいを受けたり、ひどいものでは「昔、タクシーの運転手に若い女の乗客が殺された事件があったの知ってる?」と脅しともとれる内容をにやにやしながら言われるなど、耳を疑うような体験談が飛び出しました。

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 なかでも全員が大きく頷いていたのは、ドライバーがタメ口で接してくること。男性と一緒に乗車したときは必ず敬語なのに、一人で乗るとなぜか高い確率でタメ口を使われてしまうといったものです。

男性の多くは、この「差」にピンとこない

 先日、男性の友人と2人でタクシーに乗る機会があったのですが、ドライバーが敬語を使っているのを見て「感じがいい人だな」と思い、その友人に伝えたところ「いやいや、普通でしょ」と言われ、はじめて「あ、普通は敬語なのか」と驚いたことがありました。ひとつ納得が行かなかったのは、その「感じのいいドライバー」ですら、友人が車を降りるときには「ありがとうございました」と声をかけたにもかかわらず、私には「ありがと~」と軽く言ったこと。

写真はイメージ ©iStock.com

 男性の多くは、この「差」にピンとこないかもしれません。一緒にいた男性の友人も、運転手が性別の違いだけであからさまに対応を変えている場面を目の当たりにして、とても驚いていました。

 あとで、私がモヤモヤした顔をしているのを見た友人が「ああいうのムカつくよねえ」と言ってくれたことで少し気が晴れたものの、ドライバーのあの「感じの良い対応」が最初から私に向けられたものではなかったのだと思うと、この出来事をきれいさっぱり忘れる気にはなりませんでした。