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給油やトイレ休憩を除き、ノンストップで1200キロ

 翌26日のパートでは、Aチームの面々がおよそ17時間かけてミニバスで武漢入りした様子が綴られている。

〈(1月26日)午後2時、ミニバスで大使館を出発した。北京から見て武漢は南西約1200キロの位置。武漢まではきれいな高速道路で結ばれているが、ミニバスは燃費が悪く、3~4時間おきに給油が必要で、その都度サービスエリアに入った。道中、Aチームで最も若いY書記官が探してくれたピザハットで夕食を取った。

 この日の夜はどこかに宿泊し、武漢には翌昼に到着すればよいと思っていたが、運転手2名は「交代で運転するから泊まる必要はない」と言ってくれ、給油やトイレ休憩を除き、ノンストップで走ることになった。

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 湖北省の省境が近づくにつれて前にも後にも対向車線にも車が全くいない状態になり、緊張が高まってきた。一方で、厳しい検問が敷かれていると覚悟した省境も武漢市の市境も、実際には何のチェックも行われておらず、27日午前7時、出発から17時間を経て、武漢シャングリラホテルに到着したのだった〉

羽田に着いたチャーター機 ©共同通信社

 だが、無事に武漢入りして以降も、次々と新たな困難が押し寄せてくる。湖北省各地に散らばる日本人の情報をどう集めればいいのか。誰を優先して第一便で帰国させるのか。中国側の厳しい検疫を乗り切ることはできるのか。中国籍家族の帰国を認めない中国政府をどう説得するか。植野氏らはほぼ徹夜状態で一連のオペレーションにあたったという。

 武漢がロックダウンされた1月23日から、第4便が武漢を出発する2月6日までの15日間を綴った植野氏の手記「武漢『邦人救出』15日間全記録」は、「文藝春秋」9月号ならびに「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

出典:「文藝春秋」9月号

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文藝春秋

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