文春オンライン

「ぜひ一緒に優勝したい」 ロッテ・澤村拓一と鳥谷敬の“知られざる縁”

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/19
note

かけがえのない時間となったベンチでの鳥谷との会話

 トレードで加入しマリーンズ入りした際、グラウンドにいた鳥谷に挨拶に行った。「なんか不思議だな。なにかの縁だな」。鳥谷にそう声を掛けられるとニッコリと笑った。チームメートとなりベンチで鳥谷の姿を見て感銘を受けた。大ベテランは大きな声を出し、後輩たちを鼓舞していた。そしてグラウンドから戻ってくる選手たちに声をかけたりしていた。スタメン出場機会は少ない中で試合の合間などには積極的に試合出場をしている外野手とキャッチボールをする役も買って出ていた。

「自ら積極的にされている姿勢を見て、その姿勢を見習いたいと思いました。野球は個人ではなくチーム。試合に出ていなくてもやれることはいっぱいある。そうやってチーム力は上がっていくのだと思いました」(澤村)

 投げ終わった後はベンチで鳥谷と話をすることも多くなった。聞きたかったことは山ほどある。特に興味深いのはシチュエーションごとの打者心理。どういったボールを待っているか。どういった意識でいるか。投げ終わりアイシングをしながら近づく。そしてピッチングを振り返りながら、打者鳥谷の考え方を聞く。それは発見の連続で、かけがえのない時間となっている。

ADVERTISEMENT

「こういったカウント、ケースではどういうボールを打者は待っているのか。目付けをしているのか。参考になる話ばかりです。日々、色々な事を教えてもらって勉強になっています」と澤村は充実した表情を見せる。

 これまでジャイアンツとタイガースの伝統と誇りを背負い数々の勝負を繰り広げた2人だからこその世界がある。そして感じ合えるものがある。2人は運命に導かれマリーンズの勝利のピースとなった。澤村は言う。「不思議な縁に導かれて今ここにいます。一緒にプレーをさせていただいてる。ぜひ一緒に優勝したい。自分もマウンドでもそれ以外でも優勝に貢献できる選手でありたいと思います」。2人は真剣勝負を通じて、これまで多くのファンを魅了してきた。そしてこれからはチームメートとして手を取り合いながら共に同じ勝利を目指す。優勝経験を持つ選手の少ないマリーンズにあって、引っ張り、叱咤激励する姿は頼もしい限りだ。伝統の一戦で魂を削りながら戦った2人の生き様は優勝を左右する局面で大きな力となる。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/39925 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

「ぜひ一緒に優勝したい」 ロッテ・澤村拓一と鳥谷敬の“知られざる縁”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!