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【日本ハム】西川遥輝は電光石火の男だ!

文春野球コラム ペナントレース2017

返す打者としても一流

西武・源田壮亮と熾烈な盗塁王争いを繰りひろげている西川遥輝 ©文藝春秋

 2回裏は2死2塁から石井一成(1軍に上がって即スタメン!)が四球を選んだのが大きかった。場面は「2死1、2塁」で1番西川だ。ファイターズは今年、下位打線が貧弱だけど、この形がつくりたい。「下位でランナーをためて1番西川」だ。返す打者としての西川。西川は天才型の選手だ。足があるからチャンスメーカーとしても機能するが、返す打者としても一流だ。ていうか、首脳陣としては去年「チャンスメーカー西川」をほぼ完成させ、今年は「返す西川」をつくりかったと思う。

 この2回裏、西川は打っていない。またもフルカウントまで粘って四球を選ぶ。2死満塁で2番松本をつくった。松本剛は凡退したから、この満塁は得点には結びつかなかったのだ。が、バンデンハークは確実に疲弊した。野球はプレッシャーのやり取りだ。満塁をつくった「ハルキ圧」はじわじわ効いてくる。

 西川がタイムリーを放ったのは4回裏、ドレイクのホームランで勝ち越した後だ。1死1、2塁からセカンドの横を抜く球足の速いヒットを放つ! この日西川はこのヒット1本だけで、2打数1安打1打点(2盗塁)だった。が、存在感が飛び抜けていた。

 たぶん打率は今年も3割を残すだろう。が、ただの好打者じゃないのだ。ポテンシャルがハンパない。状況に応じて「野球をつくる」能力がある。読者は去年の日本シリーズ第5戦のサヨナラ満塁ホームランや、今年のオールスター第1戦のナゴヤドーム5階席へ叩き込んだホームランをご記憶だろう。やろうと思えばあんなことができるのだ。

 西川遥輝最高! ちなみに西川を語る際に避けて通れない「アウトカウントを間違えた」等のボーンヘッドは、つまりかつて長嶋茂雄がそうだったように天才型の宿命だろうと思っている。選手は色んなキャラ、色んなタイプがいたほうが楽しい(し、チームとしても強い)。よく今年のチーム状況で集中を切らさずに頑張っていると思う。本当は西川遥輝がもっともっと本気になるシーズンが見たかった。

附記 そしてMLB関係者の注目を集めた31日、大谷翔平の先発試合は3回1/3、3被安打3四球4失点(自責点4)の内容だった。事実上のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)といっていい。ちなみにこの試合は3対4の惜敗だったが、ファイターズの下位打線が奮起し、形をつくっていた。7回裏のチャンス(1死1、2塁)に西川遥輝は1塁ゴロで凡退したものの、走者として残り、初球に盗塁(34個目)を決めて2死2、3塁、これがレアードの2点タイムリーを呼んだ。2塁から長駆のホームインはタイミング的にはアウトだったが、高谷裕亮捕手のミットからボールがこぼれたのだ。あれがセーフになってしまうのも俊足を高谷に意識させた「ハルキ圧」のたまものだろうか。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3992でHITボタンを押してください。

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