立地は良いのに「儲からない」ナゾ
こうした火災などの惨事であれば、信じる信じないは別として話はわかりやすいのだが、不動産を扱っていると必ずあるのが「儲からない」土地だ。今まで取り扱った物件の中に、都心部の交差点でよく目立つ商業店舗ビルがあった。このビルの1階には物販店や飲食店が入居するのだが、早いと半年、長くても2年以内に閉店、あるいは撤退してしまうのだ。
店舗の面する道は人通りも多く、立地も悪くないはずなのだがどうにも居ついてくれない。物販がだめなら飲食・バーと、いろいろ試しても結局持たない。これは理屈ではなく、もはや土地の霊の仕業としか思えないのだ。こうした土地は、実は不動産屋を営んでいるとあちらこちらにある。
また、世の中には占い師や土地の方位などを鑑定する人たちがたくさんいるが、彼らが我々の商売をときに邪魔することがある。契約寸前までいっていた物件を契約日の数日前に方位などが理由でドタキャンされることは日常茶飯事である。だが、それもあながちインチキとはいえないのがこの不動産という不思議な世界なのだ。
だから、みんな神様に手を合わせる
私自身は霊感が強いほうでは決してないと思うのだが、以前入居していたビルのトイレには間違いなく何か居ると思ったことがある。用を足しているとなんだか背中が重たくなるのだ。見られている……ような感覚だ。もちろん振り返っても何もいないのだが、背筋がヒヤリとすることが何度もあった。ほかの社員は感じないと言っていたが、あれはいったい何だったのか。
このような摩訶不思議な体験をしていると、不動産屋は自然に事務所に神棚を置くようになるのだ。新しい家を建てるときも、再開発で超高層ビルを着工するときも、不動産や建設に係わる人間はみんな神様に手を合わせる。
土地にはやはり魔物がいるのだ。霊をなぐさめながら丁寧に扱わなければ。