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中曽根康弘元首相は「善意の政治資金として」と発言

 最大の大物は、先日101歳で亡くなった中曽根康弘元首相だろう。首相在任中、中曽根氏の5つの政治団体に、ジャパンライフから計1000万円の献金が行われていたことを、共産党の藤田スミ衆議員が追及している。中曽根氏は「善意の政治資金として受け付けたということでございまして……」と答弁している。

 しかし、1985年11月の国会で、社会党の横江金夫衆議員が中曽根氏をさらに追い詰めた。内部告発状をもとに「(ジャパンライフは)この商売を守っていくために中曽根総理に対して、パラオ島にあるこの会社が持っている20万坪の土地を贈呈をしたということが書いてあるのです」と指摘したのだ。

故・中曽根康弘氏 ©文藝春秋

 翌12月の国会でも、藤田スミ氏がジャパンライフと国会議員らの癒着について糾弾している。ジャパンライフ傘下の「ヘルスカウンセラー協会」創立3周年の集会において、自民党副総裁の二階堂進衆議員と山口労相が山口元会長に“感謝状”を送り、中曽根首相は祝電を打っていたことに言及したのだ。

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 藤田氏は続いて1985年に開かれたジャパンライフ創業10周年記念集会にも批判の矢を向けた。「増岡厚生大臣をはじめとして、何と15人に及ぶ大臣クラスの錚々たる政治家が競い合うように参加をいたしまして、ジャパンライフの商法やあるいは山口会長を絶賛しているわけであります」と追及している。

安倍晋三の父も山口元会長とNYを表敬訪問

 翌1986年2月の国会では、安倍首相の父、安倍晋太郎外相まで登場。社会党の松浦利尚衆議員は、ジャパンライフの事業報告書の中で、山口元会長と共に安倍外相と山口前労相がニューヨークを表敬訪問したと記載されていると指摘した。

安倍首相の父、故・安倍晋太郎元外相

 それに対して安倍元外相は、「山口代議士がたくさんの人と一緒に、ちょうど私が国連に行っておったときに紹介といいますか表敬に連れてきたことは、確かにその中に今の山口隆祥氏ですか、おられたことは事実です」とその事実を認めた。

 ジャパンライフが取り込んでいったのは政治家だけではない。1985年12月の国会では、ジャパンライフが警察官僚を多数招聘していることも白日の下に晒された。関東管区警察学校・教務部長を務めた神田修道氏がジャパンライフの組織部取締役部長に、山形県警副本部長を務めた佐藤恒夫氏は代理店指導部長に就いていたのだ。

 実は国会審議が始まる前の1983年、ジャパンライフは法人税法違反で告発され、山口元会長は当時取締役に降格していた。そこで後任として会長職に就いたのが、京都府警本部長などを歴任した警察官僚の相川孝氏だ。相川氏は悪徳商法を取り締まる警察庁保安課長を経験している。

 山口元会長はなぜここまでして政治家や官僚との繋がりを求めたのか。その理由は、1985年5月の国会で取り上げられている。