「いろんな協力者が陰に日なたになっている」
山口元会長は、新高輪プリンスホテルで開いた講演会において、過去にマルチ商法の別会社を立ち上げて倒産し、ジャパンライフを創業した経験に触れ、「そういう失敗をしましたよ。だから『健康産業政治連盟』じゃないですか」と話したのだという。くわえて「産業を将来大きく伸ばすために協力してくれる代議士の先生方に政治献金している。おかげでいろんな協力者が陰に日なたになってくれている」とも語っており、政治家らをビジネスに利用してきたことが明らかにされた。
山口元会長は社会的に糾弾されると政治家に献金攻勢をかけて広告塔として利用し、元官僚を抱き込むことで追及を逃れてきたのだ。現在「桜を見る会」を巡って起きていることも、当時と同じ構造が裏にある。
80年代に大きく取り沙汰されてから、一時は鳴りを潜めていたジャパンライフだが、2010年以降に消費者からの苦情が増えていった。そして2014年夏、消費者庁がジャパンライフに立ち入り調査を計画した。
ジャパンライフへの監視の目が強まっていることを察知した山口元会長は、2014年12月に下村博文文科相が支部長を務める自民党東京都第11選挙区支部に10万円を献金。「日本消費経済新聞」によれば、柿沢未途衆議員が支部長を務めるみんなの党東京都第15区支部にも、2010年から2013年までに1940万円を献金している。柿沢氏の父親は外相などを務めた元代議士の故柿澤弘治氏。柿沢氏は同紙に、「亡き父の信頼を引き継ぎ、お付き合いをさせていただき、ご支援をいただいた」と回答した。
この裏工作が功を奏したのか、2014年の立ち入り調査は見送られている。しかし2015年9月には消費者庁がジャパンライフへ立ち入り調査に入り、ついに2016年12月に業務停止命令が下されたのだ。
消費者庁が業務停止命令を発した直後の2017年1月13日、山口元会長は安倍政権の重要閣僚、加藤勝信一億総活躍担当相(当時)と会食をしている。その後に配布されたジャパンライフの宣伝チラシには早速、加藤氏に「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価して頂きました!」と記載した。
加藤氏との会食の2週間後の1月27日、今度は山口元会長主催で二階俊博・自民党幹事長を囲む懇談会も開かれた。会には多くのマスコミ関係者も招待されていた。その後、またしても宣伝チラシで「トップ政治家やマスコミトップの方々が参加しました! このメンバーで毎月、帝国ホテルにて情報交換会を行っています」と、自身と有名政治家との親密な関係をアピール。チラシには参加メンバーとして、NHK、日経新聞、毎日新聞などの論説委員クラスの顔と名前も並んでいた。