1ページ目から読む
4/4ページ目

 ある出版社幹部はこう話す。

「山口さんには向島の料亭で、2世議員などの政治家を何人か紹介して貰ったことがあります。山口さん主催の食事会に行くと、新聞の論説委員とか、役人上がりの人が必ず来ていました。私は会っていませんが、山口さんの口から、引退した自民党の大物政治家の名前が何回か出たこともある。権威を笠に着ることで、商売に利用していたのでしょう」

 2016年12月に業務停止命令が下ってからも、懲りずに広報活動をしていたジャパンライフだったが、2017年3月には2回目の業務停止命令が下っている。

ADVERTISEMENT

中央が安倍晋太郎 ©文藝春秋

 2015年の消費者庁による立ち入り調査以降、山口元会長は80年代と同様に、元官僚たちを自社の主要ポストに就任させていった。

 2015年7月、まずは消費者庁の水庫孝夫課長補佐がジャパンライフ顧問に就いた。水庫氏は在職中、ジャパンライフに「定年退職」「最後の仕事」と繰り返し告げ、私用のメールアドレスと電話番号を伝えていたという(内閣府の再就職等監視委員会の調査より)。そして翌16年3月、再就職等監視委員会は、水庫氏のこれらの言動が、「(国家公務員法に)違反する行為であることが認められました」と発表した。

 ジャパンライフが隠れ蓑にしようとした元官僚は水庫氏だけではない。2017年4月の国会で、共産党の大門実紀史参議員は、ジャパンライフのパンフレットを入手し、こう指摘した。

「もっと大物がいるんです。海外担当の松尾さん(篤・元経済企画庁長官秘書官)も元経産、キャリア組ですね。水庫さんはノンキャリアですけれども、キャリア組の松尾さんと、右の上の永谷さん(安賢・元内閣府官房長)ですね」

 さらに最新のパンフレットには、中嶋誠・元特許庁長官が入っていることも明かした。そして大門参議員はジャパンライフの“お中元リスト”も入手。「いろんな方の名前がずらっと並んでおります。(中略)あいうえお順ですから、最初に出てくるのは麻生太郎さん、2番目が安倍さん、安倍晋三総理ですね……」と指摘した。

©文藝春秋

 この指摘を受けて、後日、麻生太郎財務相は山口元会長について言及。「この人は結構有名人。(中略)この人はその時代から結構有名な方で、マルチという言葉が始まった最初の頃からもう出ていた方だった」と答えている。

 社会部記者が話す。

「消費者庁は2015年に立ち入り調査に入ったにも関わらず、業務停止命令を出すまで1年以上かかっています。ジャパンライフのように明らかな違法性が認められる企業であれば、立ち入り調査後に業務停止命令が出てもおかしくなかった。この“特例”には、こうした政治家との繋がりや、役人の招聘が影響していると見られます。そしてこの間に、『桜を見る会』の招待状がジャパンライフの宣伝に使われたのです」

 こうして安倍首相主催の「桜を見る会」は、ジャパンライフの“永田町戦略”にまんまと利用されたのだ。