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東南アジアで2~3年働いてみる?

カネなし、カレなし、コネもなし。30オンナの脱力系転職活動記

2017/09/07

フリーペーパーに「検閲!?」

 3月下旬、編集長と再度Skypeで話をすることになったのですが、細かい仕事の話は一通り前回聞いたので、事業の方向性などを伺いました。

 やはり日本の人口減が影響しているのか「市場が大きく成長することはない」とのこと。そうだよなあ。日本人が減るってことは、ふつうに考えて海外に住む日本人も減るやろし、そうするとフリーペーパーの読者数だって減るよなあ。

 そんな中、ビジネスニュースの需要はまだ伸びが期待できるので、そのあたりに力を入れていくそう。

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 これは転職活動を通じて痛感したことですが、本当に日本の製造業ってアジアの至る所に進出しているんですね。自動車メーカーが工場を建てるので部品メーカーも出ていく。こうしたメーカーの工場で働く人向けにケータリングサービスや作業着を扱う企業も進出していく。そんな現代社会で当たり前のことを実感できたのは、転職活動での数少ない学びだったかもしれません。

 家賃は米ドルで300~400ドル程度。物価はおおむね安いが、電気料金だけは高いので要注意。ビザ申請のために無犯罪証明書と英文の大学の卒業証明書もらってきてね、なんて話もして、何となく内定がもらえる雰囲気がします。

©iStock.com

 そんなまったりした面接という名のおしゃべりの合間、一つだけ初耳&衝撃の話が。

「あ、ベトナムは地図とか検閲あるから、それだけは編集作業の注意点かな」

 日本も海外もそんなに変わんないでしょ、と能天気に思っていましたが、「検閲」という現代日本においては存在しない制度に衝撃。そして、ベトナムで検閲が行われているなんて知りませんでした。日本人向けのフリーペーパーまで検閲されるなんて。

 まあ、生活密着型のフリーペーパーで、検閲ではねられるということはまずないようでしたが、やはり日本人、しかも端くれとは言え新聞記者だった身からすると、身構えてしまう制度。余談ですが、のちに調べたところ、ベトナムは領土問題が発生しているエリアの地図表記に気を使っているようでした。そんな感じで「検閲」への衝撃はありましたが、和やかに進んだ面接で、無事内定を頂きました。

 色々見て回ったけど、やっぱり海外かな。そもそも2、3年で帰国する人もいるという、辞めやすい環境のようだし、これくらい気安いところで働くのがいいかもしれない。編集長も感じがいいし。スタッフは7割女性とのこと。3年以上、「県内にわが社の女性記者、私だけ」というハイパー男所帯で働いてきた身としては、女性の上司を持ったり、同世代の女性と一緒に働いたりというのは、ちょっとした憧れでもあります。

 久々の内定に安堵しつつ、私の心はベトナムに傾いておりました。

キヨシマの転職活動メモ
一、海外就業、治安や食はもちろん大事だが、日本との法律、権利なんかの違いもよくよくチェックしておくべし

※この連載は、新聞記者として5年働いたキヨシマによる、「脱力系」転職活動記です。書かれていることは全て現在進行形のノンフィクションです。

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