冬も終わりが見えてきた3月中旬。相変わらず私は無職でした。無職1周年記念日に向けて焦燥感を募らせたり、開き直って満喫したり。そんな私のもとに1通のメールが届きました。

 差出人は、かつて受けた企業の面接官。前にSkype越しのロールプレイを求められた企業の、台湾担当者からです。

 内定を辞退した企業からのメールなんて、ちょっとした恐怖。こわごわ開いてみると、「ベトナムで発行しているフリーペーパーの編集記者を募集しているので受けませんか?」という求人紹介でした。

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 今さら何か文句でも言われるんじゃないかとビビっていたので、ホッとしつつ驚きます。ふつう、内定辞退した人に職種が違うとはいえこんな案内する!? ありがたいけどさ、という気持ちです。しかし、どこにどういったご縁があるかわからないものです。

キヨシマの転職活動メモ
一、内定辞退してもその企業とその後どんなご縁があるかわからない。いつでも誠実に、丁寧に対応することが大事!!

 とは言えこんなイレギュラーなケース、未経験です。人事経験のある友人にLINEすると「いや、ありえんやろ(笑)」と全否定。そうだよね。ふつうの日本企業だったらそうだよね。でもこれベトナムだし。私めっちゃ働きたいし。希望の職種だし。フォーめっちゃうまいし。

ベトナムもいいなぁ ©iStock.com

 ということで、とりあえずSkypeで概要だけでも聞いてみることに。

日本の地方都市より断然都会!

 説明してくれるのは、フリーペーパーの編集長。30代後半くらいの女性です。

 会社の歴史、現在の人員体制、仕事の流れについて説明を受けます。今回の募集は欠員補充とのことだったので、離職する人が多いのか聞いてみました。

 すると「2、3年働いて日本に帰る人、結構います」とのこと。日本で疲れた社会人が、数年働いて少し羽根を伸ばし、元気になって日本が恋しくなると帰るというのは、東南アジアではよくあるパターンだそう。知らなかった! そういう生き方もあるのね。ちょっとワーキングホリデーっぽい感じもありますね。

 そのため編集部では、人の入れ替わりがあることを前提に、初めて編集職をする人もわかるように工程をマニュアル化して、記事の長さによっても「作業目安時間」を設けているとのこと。

「記事執筆って一子相伝の技か何かなの!?」と思うほど情報共有がなく、それぞれ自己流でやっていた新聞社に勤めていた私としては、新鮮な話ですし、そっちの方がいいなと共感します。新聞記者をやっていたとき、自分で勝手に作業の目安時間を設定していましたが、それが人と比べて速いのか遅いのかはイマイチわからないままでした。

 地方出身だという編集長。「こっちは、日本の下手な地方都市より断然都会!」と熱弁してくれました。たしかにもう田舎に飽きた感もあるので、ちょっと都会の薫りがするところに住みたいです。そんな私の心をうまくくすぐってきます。

 この日はあくまで概要説明という趣旨だったので、後日改めて面接を希望する旨連絡しました。