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ファイターズ・清宮幸太郎選手に感じる“もやもや”との向き合い方

文春野球コラム ペナントレース2020

22時間前

 プレゼントをもらったら嬉しい。そのプレゼントがどこからどんな風に運ばれてきたのかを知ったら、もっと嬉しい。目の前にやってくるまでのエピソードはプレゼントへのエッセンスになる。それがなければそのプレゼントの価値は変わってくるだろう。そう、プロセスは未来へのエッセンスなのである。

 私は北海道のHBCラジオでファイターズの番組を担当しているので、普段の生活でもスタッフや友人からチームに関して質問を受けることが多い。タイプは大きく3種類。

「ねぇねぇ、今日は勝つ??」という至極シンプルなもの。「西川くんの盗塁はいまいくつ?」「中田のHRって何本になったんだっけ??」「昨日、うわっち(上沢)何勝目??」という、どうかまずは自分で調べてくださいというもの。

 そしてもうひとつは「大田は2番じゃないんじゃないの?」「なんでエラー多いの、今年」「鶴岡をもっと出せ!」など、私に言われても知らんがなというもの。知らんがな、もちろんそうは言いませんよ、最後のはすっごく笑ってごまかすのが私流。

 ただ今年、なんてったって一番聞かれるのは、調子のあがらない清宮幸太郎選手のこと。けがもなく万全の状態なので言い訳も出来ない清宮幸太郎選手のこと。これはもう、調べてくださいでも知らんがなでも、笑顔でもごまかせないでいる。「なぜ打たない」「なぜエラーする」「そもそもなぜずっと1軍にいる」……。

清宮幸太郎

清宮選手に対するファンのもやもや

 まずファンがもやもやするのは守備だと思う。ただのエラーではなく「痛恨の」とついてしまうエラーが目立つのは、そんなところもやっぱりスターだなと苦笑いしてしまう。

 例えば、10月6日の札幌ドーム、イーグルス戦。この日のエラーも得点に繋がってしまう、更にチーム60個目のエラーでパ・リーグワーストを更新してしまう区切りのいいミスに。チーム全体のエラーが多いのに清宮選手が悪目立ち……。清宮選手が守るファーストには中田選手という名手がいるから、どうしても比較されて「中田選手だったら……」という思いがファンの頭をかすめる。

 今年の私たちは札幌ドームでは個人では拍手で応援を届ける。なのでエラーなどを目の当たりにするとシーンと静まりかえってしまう。拍手は「しない」という選択肢もあるのだと気づいた。拍手も無音も選手には届く。

 次のもやもやはチームの育成方針かもしれない。スワローズの村上選手、マリーンズの安田選手。この二人は清宮選手と同期の高卒3年目の選手。ふたりともファームからスタートし、上がってきてからの活躍は目覚ましい。

 片や、清宮選手はけががなければ、1年目からほぼ1軍にいる。ファイターズはレベルの高いところで経験を積ませて育成する方針だ。素晴らしいお手本も周りにたくさんいる。

 1軍と2軍では同じ野球選手でも一日の過ごし方はぜんぜん違う。昼過ぎから練習しナイター、遅い就寝の1軍。午前中から練習し、デーゲームのあとに居残り練習もある2軍。実力を発揮できない様子を見ていると、他チームの二人と比べてしまっても仕方ない。今年の清宮選手は万全の状態で1軍スタート、降格することなくシーズンを終えようとしている。