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ファイターズ・清宮幸太郎選手に感じる“もやもや”との向き合い方

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/10/19
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いまのもやもやは喜びへの貯金と言えるのかもしれない

 毎日寄せられる番組へのメッセージや周りからの声にどう応えようかと私は日々清宮選手を観察する。三振して少しななめ上を見た時の切ない表情。ベンチに帰る途中でうつむきながら自分を戒めるようにヘルメットをコツコツと叩くこともある。座ってスポーツドリンクを飲むときはちょっと遠慮がちに。でも声出しは思いっきり。得点した時のガッツポーズ、満面の笑顔、飛び出し。ベンチの様子で先輩たちから可愛がられていることもよくわかる。

 でもいつまでも後輩ではいられない。ファームでは年下の選手が太陽の下、頑張っている。若手にすぐにチャンスがくるファイターズは逆を言えば若手でいられる時期が他のチームよりもぐっと短い。

 今季もあと20試合をきった。ファンの声は何らかの形で清宮選手にも届いてることだろう。

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 やるべきこと、足りないこと、いろいろなことが明確になり責任も増したシーズンだと思う。そして私は清宮選手は自分の置かれた場所で自分を成長させるヒントをもう見つけ出しているだろうと信じたいのだ。それが実を結ぶまでファンは気づかないから、もやもやはまだしばらく続くかもしれない。だけど、このもやもやは近くで見てきたファンにしかわからない特別なものだ。期待通りの姿というプレゼントを貰った時、この経験は喜びを高めるはずだ。

 あの時のこと、あのエラーのこと、あの転んだ姿……これを知っているか知らないかではプレゼントの価値が違う。と考えると、いまのもやもやは喜びへの貯金と言えるのかもしれない。貯めておいて損はない。もやもやは未来へのエッセンスなのだ。でも貯めすぎは体に良くないので、清宮選手、そこんとこたのんます。

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