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その2、「山本さんが変だから、トラブルを受け流せない」。

「怒りの瞬発力」のエピソードでも描いていましたが、トラブルを未然に回避できない性格が影響しているのは間違いありません。瞬発的に避ける・反撃するというのが苦手なんでしょう。

これは分かる。

 そこは性分なので仕方ないですが、実はそれ以外にも引き起こす問題があるんです。それは「探求心・好奇心が人一倍ある」という所。山本さんは危ない危ないと思いながら踏み込んでしまう、奇妙な性質を持っているのです。

 いい大人であれば無用なトラブルは避けるのは当然。にも関わらず山本さんはその先にあるものに期待してしまい、果敢に飛び込んでいってしまう。そしてまんまとヒドイ目(ある意味おいしい目)にあう。それはもう明らかに「変」でしょう。

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踏み込み過ぎて首踏み込まれてる。

その3、「山本さんが変だから、共鳴して引き寄せてしまう」。

 何度も言うように山本さんは変な人です。具体的かつ、代表的な例で言うと「結婚式の二次会に『ギリースーツ』で参加する」でしょうか。

山本さん、親友の結婚式の二次会ですよ。

 普通は思いついても絶対やらないし、そもそもこんな発想は常人では出てこないでしょう。間違いなく変な人です。

 といっても、山本さんは、いつもギリースーツを着るような見た目で分かりやすい変な人では決してないのです。身なりもちゃんとしていますし、見当違いな発言をするような人ではありません。長年付き合ってくると徐々に内に秘めた狂気が浮き上がってくるタイプなのです。

 ただ、変な人というのは、本能的に敵か味方かをかぎ分ける能力があるように思います。なので一見すると分からない山本さんだとしても、味方だと振り分けられ、心を開いて寄ってこられてしまうのです。本人の思いとは裏腹に……。

裏腹に。玉々に。変質者のハーフパンツから……。

これからも読者の期待にバンバン応えるでしょう

 これはもう「変」としか言いようがありませんね。

 この3つの「変」から「山本さんが変だから」という結論に行きついたという訳です。

 では、原因が判明した中、山本さんはこの状況から脱却できるのでしょうか。答えは「否」です。漫画家となり、それが持ち味の一つとなった今、むしろ悪化の一途をたどると考えられます。

 しかし、これはファンにとっては非常にありがたい話です。日頃の経験からドロップされるエピソードはどれも破壊力抜群なのですから。これからも読者の期待にバンバン応えて珍エピソードを披露してくれるでしょう。

 もし、山本さんと自分が運命上出会わなかったとしても、何かしらで知って普通にファンになっていたと思います。そのくらい稀有な才能の持ち主なんです。山本さんは凄い人。これは断言できます。

 長々と書き連ねてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 以上、「親が用意してくれた安定街道から外れ、長年の夢であった芸人になるも挫折。今はヘンテコなテクノミュージシャンであり、コンビニかけ合わせグルメ研究家、8cmCD専門のDJでもある」生粋の変な幼馴染、杉ちゃんの考察でございました。

きょうも厄日です 1

さほ, 山本

文藝春秋

2020年6月30日 発売