文春オンライン

「火に水ではなくガソリンをまいた」山尾志桜里に離党を迫った民進党議員たち

──今週の珍言・重要発言総まくり

2017/09/09

竹下亘 自民党・総務会長
「広島は人口がいるけど島根に落ちても何の意味もない」
朝日新聞 9月3日

 北朝鮮情勢が緊張感を増している。8月29日の弾道ミサイル発射に続き、9月3日には核実験を強行。安倍晋三首相は各国首脳と相次いで電話会談したほか、訪問先のロシア・ウラジオストクではロシアのプーチン大統領、韓国の文在寅大統領と会談し、対応策を協議した。

 そんな中、自民党の竹下総務会長から失言が飛び出した。広島市で行われた党広島県連のパーティーのあいさつで、北朝鮮が中国・四国上空を通過して米グアム沖を狙うミサイルの発射を予告したことについて、「島根に落ちても何の意味もない」と発言したのだ。

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記者団に囲まれる竹下亘総務会長 

 翌日4日、竹下氏は「どこが不適切ですか。教えていただければ考えさせていただきますが」と述べ、発言を撤回しなかった(TBS NEWS 9月4日)。発言の意図については「島根には米軍基地があるわけでもなく、軍事戦略上意味がないという趣旨で言った」(時事ドットコムニュース 9月3日)、「北朝鮮から見れば、戦略的な意図から東京などの大都市に(ミサイルを)落とすことはあっても島根に落とすようなことはないという意味だ」と回答している(読売新聞 9月3日)。

 竹下氏は衆院島根2区選出。自民党の石破茂元幹事長は「人口が多い地域と少ない地域をユーモラスな意味合いを込めて言ったのではないか」と竹下氏をフォローした(産経ニュース 9月3日)。竹下氏は地元の人口の少なさを自虐ギャグにして披露したのだろうか?

 竹下氏の言うとおり、島根には米軍基地はないが、原発がある。原発にミサイルが落ちたら被害は甚大だ。「いちばんは国民の命と暮らしを守ることだ」(NHK NEWS WEB 9月3日)と言うのなら、そのあたりも念頭に置いて発言したほうがいいのではないだろうか。それともやっぱりギャグだったの?

前原誠司 民進党代表
「非常に厳しい船出だという思いを強くした」
テレ朝 news 9月1日

©近藤俊哉/文藝春秋

 9月1日、民進党は臨時党大会を開き、新たな代表に前原誠司氏が選出された。これは前原氏の選出挨拶での言葉。

 前原氏が「厳しい船出」だと語った理由は、「白票の多さ」による。前原氏は全体の約6割の票を獲得したが、国会議員142人のうち8人が無効票を投じていた。これらの無効票は離党予備軍と見られている(産経ニュース 9月2日)。記者からの質問に対して「今の段階で私がそれに対してコメントする必要はない」とかわした前原氏だが、民進党内の足並みが揃っていないのは山尾氏の騒動への対応を見ても明らかだ。

 記者会見でも語られた通り、必ず1年3カ月以内には衆院解散・総選挙がある。それまでにどうボロボロの民進党を立て直していくのか。「前原民進、船出から座礁」と見出しを打つメディアもある(時事ドットコムニュース 9月6日)。2度目の代表となった前原氏の手腕が問われる。