文春オンライン

「火に水ではなくガソリンをまいた」山尾志桜里に離党を迫った民進党議員たち

──今週の珍言・重要発言総まくり

2017/09/09
note

麻生太郎 副総理兼財務相
「気違いみたいな人ばっかり」
愛媛新聞ONLINE 9月3日

 相変わらず失言続きの麻生副総理。9月2日に愛媛県西条市で行われた10月の衆院愛媛3区補選の応援演説で「祭りのときに選挙なんてできるだろうか」と述べ、地元の祭りの参加者を「気違いみたいな人ばっかり」と表現した。この後、麻生氏は記者団に対して「不適切な表現だった」として釈明しているが、各メディアが「精神障害者に対する差別的表現」とボカしている中、見出しに「気違い」と打った愛媛新聞の怒りの大きさを感じる。

 愛媛新聞はコラム「地軸」で「信じ難い差別的表現を口にした」と麻生氏を批判。先の「何百万人を殺したヒトラーは、いくら動機が正しくても駄目」という発言も合わせて、「なぜ不穏な言葉が漏れ出るのか、本音を想像すればさまつなこと、とは到底思えない」と記している(9月4日)。

ADVERTISEMENT

 麻生氏と長い付き合いの永田町関係者は次のように述べている。「失言癖は以前からだが、間隔が短くなっている」「年齢のせいか自制心がきかなくなっているのではないか。『安倍晋三首相が政権を投げ出したら緊急登板で麻生氏』の観測も消えつつある」(『週刊文春』9月14日号)。

©石川啓次/文藝春秋

長尾敬 自民党・衆院議員
「事実と違っていたので削除した。それ以外は答えられない」
産経ニュース 9月5日

 自民党の長尾敬衆院議員が7月、民放が偏向報道しているというネットメディアの根拠のない記事を自身のツイッターに引用して拡散を呼びかけていたことについて、投稿を削除して謝罪していたことがわかった。

自民党の長尾敬衆院議員 

 長尾氏は7月12日、自らのツイッターに「偏向報道やりたい放題。日本は乗っ取られた」などと伝える記事へのリンクを載せ、「情報戦です!」と記して拡散を呼びかけていた。記事の内容は事実無根であり、国会議員が悪質なデマを鵜呑みにして自ら積極的に拡散していたことになる。

 記事は「泉放送制作のせいで民放が偏向報道」というもの。同社が「日本のテレビ番組のかなりの部分」を作っていると指摘、「最も影響力の強いテレビがいつの間にか制作会社に実質的に乗っ取られ、偏向報道が繰り返されるようになっていた」「都合のいいコメントをしてくれる劇団員を雇い、効率よく撮影していく」などと伝えていた。また、「報道番組が森友学園、加計学園と、国民がもううんざりしている話題をいつまでもセンセーショナルに取り上げるのはなぜなのか。その理由が分かった気がする」とも記されていた。泉放送制作の幹部は「記事は全くの事実無根。議員の立場にある方に事実でないことを拡散され、非常に遺憾だ」とコメントしている(朝日新聞デジタル 9月5日)。同記事は長尾氏が謝罪したという報道が行われた時点で削除された。長尾氏はなぜこんな荒唐無稽な情報を信じ込んでしまったのだろう? 

 長尾氏は8月17日、この記事の拡散を呼びかけたツイッターの投稿を削除し、「関係者各位には、心から深くお詫び申し上げます。誠に申し訳御座いませんでした」と謝罪したが、産経新聞の取材に対しては「事実と違っていたので削除した。それ以外は答えられない」と秘書を通じて回答したのみだった。ちなみに「情報戦」とは「偽情報やプロパガンダの流布」も含まれるので、長尾氏の言っていることは正しいと言えば正しい。なお、長尾氏は謝罪報道の後、ツイッターで「南京大虐殺はありませんでした。これが私の理解です」と発言している(9月5日)。これも「情報戦」なのだろうか?

「火に水ではなくガソリンをまいた」山尾志桜里に離党を迫った民進党議員たち

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー