山尾志桜里 民進党・元政調会長
「男女の関係はない。しかし、誤解を生じさせるような行動で様々な方々にご迷惑をおかけしたことを深く反省し、おわび申し上げる」
産経ニュース 9月7日
名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。民進党が混迷を極めている。9月7日、山尾志桜里元政調会長が離党届を提出した。『週刊文春』9月14日号で不倫疑惑を報じられたことによるものだ。前原誠司新代表は当初、山尾氏を幹事長に起用しようとしていたが、不倫疑惑の情報が入ったため起用を断念。執行部入りも見送られた。
離党届を提出した山尾氏は記者団に対して「有権者や子育てに奔走するお母さんを始め、応援いただいた皆様、同僚議員やサポーターの皆様に大変な迷惑をかけることになってしまい本当に申し訳ない」「誤解を生じさせる行動で、さまざまな方々にご迷惑をおかけしたことを深く反省し、おわび申し上げる」と陳謝した(NHK NEWS WEB 9月7日)。
山尾氏は当選2回。2016年には「保育園落ちた日本死ね」と書かれた匿名ブログを国会で取り上げるなど、舌鋒鋭く与党を追及する姿で注目された。
山尾氏に厳しい声を浴びせているのは、ほかならぬ民進党内の議員だ。「すぐに離党しなければ、党も山尾氏本人も傷口が広がる」(NHK NEWS WEB 9月7日)、「山尾氏が離党すればこの問題も区切りがつく」(NHK NEWS WEB 9月8日)などという意見のほか、山尾氏に議員辞職を求める声もあるという。早期の離党については民進党執行部から強く迫られていたとも報じられている(テレ朝news 9月7日)また、党執行部の一部からは議員辞職が必要だという声も上がっていたが、党内からは「仲間をかばわず、辞職させてそれが党のためになるのか」という反発も出た(毎日新聞 9月7日)。結局、議員辞職の意向を漏らしていた山尾氏を前原代表が説得したとみられている(産経ニュース 9月8日)。
もともと山尾氏の幹事長起用に対して、民進党内には強い反発があったという。代表選で前原氏を支持した議員を中心に「政治経験が少ない山尾氏に党務を仕切れるのか」といった不満が続出していた(朝日新聞デジタル 9月5日)。とある民進党幹部は「男ならどんなに人気者でも実力者でも2回生で幹事長とは絶対ならない。嫉妬も交じり、党内で反発がすごく強かった」と語っている。「山尾幹事長となっていたら、民進党が勢いを取り戻す危険性があった」と語る自民党国対幹部とは正反対の評価だ(AERA dot. 9月7日)。民進党のとあるベテラン議員は「火に水ではなく、ガソリンをまいている」と嘆いたそうだが、これは山尾氏のガソリン疑惑への皮肉だろう(時事ドットコムニュース 9月7日)。本人の脇の甘さは明らかだが、山尾氏の離党届けの提出はこうした民進党内の声によるものも大きいのではないか。
“ガソリン疑惑”とは、山尾氏が事務所経費として1年間で約200万円以上ものガソリン代を計上していた政治資金に関する疑惑のこと。「地球5周分に匹敵する距離を走った計算になる」と騒がれた(産経ニュース 2016年4月1日)。この件に関しては山尾氏の元公設秘書が不正利用を認めており、すでに返金を済ませている(産経WEST 2016年12月27日)。なお、ガソリン代に関しては、自民党の鈴木俊一オリンピック・パラリンピック担当大臣の資金管理団体「清鈴会」が計上していたガソリン代が3年間で「地球33.8周分」となる1400万円以上に及んでいたことが明らかになって問題視されている(『週刊新潮』8月17・24日号)。