政党名には自分たちが実現できない理想が込められているというジョークがある。

「民主党は民主的ではないから、自由党には自由がないから、自由民主党には自由と民主がないから」

 それで言うなら「民進党」は国民と共に歩んでいる気配がまったくない。政権交代を訴える魅力が必要なのに、ここぞという時にグダグダ。

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民進党結成 蓮舫も山尾志桜里も大集合 ©石川啓次/文藝春秋

「今年もお疲れさまでした……」

 代表選挙が告示された8月21日、私はラジオの中継のため前原誠司、枝野幸男候補の共同記者会見の現場にいた。最も印象に残ったのは会見終了後に党の選挙管理委員会の人が「今年もお疲れさまでした……」とつぶやいて報道陣から失笑が漏れたことだ。思わず恒例行事感が出てしまったのだ。ああ。

 9月1日の代表選で前原氏が選出されたが、話題になったのは前原氏が演説の途中「大事なところで噛んだ」こと。

《「政権交代を実現しようではありませんか!」と言うべきところで「実現」と言えず噛(か)んでしまい、失笑を巻き起こす一幕も。》(スポーツ報知 9月2日)

ニッカン、報知ともに前原新代表を「いじる」

 この記事の最後に「民進党幹部の主な“失敗”発言」が掲載されていたが菅直人氏のエピソードが出色だった。

スポーツ報知、執念のいじり

《04年6月の参院選前の党決起パーティーで「乾杯(完敗)というと負けそうですから、ここは完勝と言いましょう」と音頭を取りながら「カンパーイ」と絶叫》

 菅直人氏も今更こんなエピソードを引っ張り出されて迷惑だろうが、この程度の温度だった代表選挙報道。

カンパーイ ©山元茂樹/文藝春秋