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「左派高学歴エリートは語義矛盾の存在になり果てた」それでも“トランプ再選”が世界のためになるワケ

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 11月3日に米国で行われる大統領選。各種世論調査では、現職トランプ大統領に対して、民主党バイデンの優位が伝えられ、多くのメディアも、バイデンの勝利を予想し、またバイデンの勝利の方が望ましいと論じている。

 だが、仏の歴史人口学者エマニュエル・トッド氏は、こうした論調に異議を唱える。

〈「トランプ再選となれば、米国の民主主義も終わりだ!」といった言辞が繰り返されています。米国に限らず、エリート層が好む高級メディアほど、この論調です。トランプが、下品で馬鹿げた人物であることは言うまでもありません。私自身も、人として、とても許容できない。ただ、トランプをそう非難するだけで事足れりとすれば、米国社会の現実を見誤ることになるでしょう〉

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「トランプの再選の方が、どちらかと言えば望ましい」

 トッド氏は、前回の選挙の際も、トランプ勝利を半ば「予言」していた。

〈2016年の米大統領選の際、私は「トランプが必ず勝つ」とまでは言わずとも、「トランプの勝利などあり得ない」という論調が大勢を占めるなかで、トランプ勝利の可能性を大いに強調しました〉

 そして、こう続ける。

エマニュエル・トッド氏(歴史人口学者)

〈前回ほどオリジナルな見解とは言えませんが――というのも一度は起きたことなので――、今回もトランプ勝利の可能性が大いにあり、またトランプの再選の方が、米国にとっても、世界にとっても、どちらかと言えば望ましい――馬鹿げた対イラン政策などを理由に前回ほど積極的な支持ではないのですが――と私は考えています〉

 トッド氏はなぜそう考えるのか。