開幕直後は今年は優勝しちゃうぞ、なんて思っていた

 正直、開幕直後の勢いとチームの雰囲気を見ていれば、今シーズンは楽に優勝、最低でもCS進出なんて思っていた。

 しかし、どうだろう……115試合を戦って53勝55敗7引き分けの借金2。

 CSどころか5割を切ってBクラスでのフィニッシュも最悪ありえる状態だ。

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 今シーズン、何度この試合は今後を占う天王山だな、という試合を経験したことか。(そして何度そんな試合を落としただろうか。)

 しかし、ここから残り5試合。ある意味イーグルス、マリーンズ、ライオンズの三つ巴CSファーストステージ。本当に落とせない試合が続く、というかこの1週間で命運が決まるのだ。

 しかし、今シーズンここまで苦戦したのには理由がある。

 両リーグ最多の31度の逆転負け。

 リーグトップ.258、533得点を叩き出した打線をもってしても勝ちきれない要因。

 あらためて指摘するまでもなく、誰が見てもリードを粘りきれない投手陣の乱調であろう。

 涌井以外の先発陣の不安定さは、上位3チームより下回るクオリティスタート率が物語る。

 それにより救援陣に負荷がかかり夏場以降に投壊してしまったのか。救援陣は、シーズン通じ活躍してくれたブセニッツ、酒居、牧田らも疲れが見え隠れし、登板回数が過度になっていけば行くほど、中継ぎ投手が1軍2軍を往復を繰り返す。(過密日程による戦略的な入れ替えはあるにせよ、だ)

積み重ねた140セーブ。やっぱり楽天の守護神は、松井裕樹しかいない

 それでも最後にこのチーム状況を浮上させるきっかけが見えてきた。

 逆転のCSのキーマンは松井裕樹。そう、守護神・松井裕樹だ。

松井裕樹

 セーブ王に日本代表選出(※その後辞退)と輝かしい成績を引っさげ昨オフに推定年俸1.1億円からの1.4億増の2.5億円+出来高の4年契約総額10億円で契約した松井。契約更改の場で「元々先発をやりたいという気持ちでプロに入った。若いうちに長いイニングを投げるスタイルを身につけたい」という言葉とともに先発転向を宣言。

 入団2年目当時、監督だったデーブ大久保氏がセットアッパーに指名。9回を任せる予定であったミコライオが開幕前に戦線離脱したこともあり急遽ストッパーに指名された。大久保氏が各所で語っているのは、副交感神経が働きやすい松井は抑えでも力を発揮する、と医師に言われ、医学的な見地から抑え転向を決めたのだ、という。当時は、チーム内外から批判の声もあがったが、四球か三振という豪快なピッチングスタイルは高い奪三振率を誇り、高卒2年目にして3勝33S防御率0.87の驚異的な成績で一躍守護神となった。

 本人の意志そしてチームの意志として華々しく先発転向するのが今シーズン、のはずだった。

 しかし、先発としての結果は知っての通り、僕らが期待していた松井裕樹ではなかった。

 開幕早々に2試合連続4回KO。仙台市民のソウルフード・大衆食堂半田屋の白飯大でも注文して出直してこい!と叱責したくなる圧倒的なスタミナ不足を露見し、2軍再調整。8月頭に1軍先発復帰も、QSは3回のみ。5回で100球近く投げる日も多く救援陣に負担のかかる微妙な先発5、6番手の投手となっていた。