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“さよならマルちゃん” マルティネス投手、ファイターズ最後の登板を見届けて

文春野球コラム 日本シリーズ2020

2020/11/28
note

マルちゃんの最後をしっかりと見届けよう

えのきど「ところで宗佑磨、横浜隼人時代からいい選手だなと思って、ハムに来ないかなと思ってたんだよね」

 ドラフトのスカウトでも「たまたま観に行った試合で活躍して」なんて話もよく聞きますよね。えのきどさんも、宗選手の高校時代に試合を観に行って活躍する姿に釘付けになったらしいです。まさにそんな話をしていたところでした。7回、先頭打者の宗選手に3ベースヒットを打たれてしまいます。いらないことを言うから! 相手を褒めるのは試合終了後にしてください!

 1点ビハインドの終盤、ここでの追加点は致命的。どうする? マルちゃん替える? むしろ自分のほうが気になってベンチをチラチラと見てしまいました。

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青空「替えちゃダメ、替えちゃダメ」

僕ビーバー「そ、そうですよね、ダメですよね」

 ベンチは動かず、続投です。

 無死三塁、犠牲フライも許したくない場面。マルティネス投手はふっと呼吸を整え、セットに入ります。試合の当初よりはテンポを抑え、じっくりと丁寧に投げていきます。佐野選手を三振。西野選手は内野への小フライ、マルティネス投手がサードを制し自分で捕球しにいきます。2アウト。続く安達選手は申告敬遠。ふと電光掲示板を見ると、球数はすでに110球。

 マルティネス投手も、このイニングが最後ということを感じていることでしょう。そして僕らもまた、マルティネスいやマルちゃんの最後をしっかりと見届けようと集中していました。松井佑選手を三振にとります。

一同「ヨッシャー!」

 球場が安堵に包まれたその瞬間、マルティネス投手は僕らとシンクロするように叫びながら、一度、二度とガッツポーズをしました。いつものあの大きなものではなく、控えめに小さく、だけどグッと力のこもったガッツポーズ。マルティネス投手はしっかり守ってくれました。

(で、色々ありまして場面転換)

えのきど「ここで打ったらどえらい試合ですよ」

 試合は1点ビハインドの9回裏、一打同点のチャンスでこの日スタメンに復帰した野村佑希選手へと打順が回ってきました。きっとみんな、7月2日ソフトバンク戦の、森唯斗投手から放ったどえらいサヨナラタイムリーを思い出したことでしょう。多分、きっと、絶対思い出したことでしょう。

 コロナ禍での観戦スタイル。いまはチキチキバンバン(チャンステーマ)も歌えない、サヨナラしても周囲の見ず知らずの人とハイタッチして喜び合うこともできません。でも打ったらヨッシャー!と心の中で叫びたい。心の中で、マルちゃんのように派手にガッツポーズして喜びを表現したい!

 しかしー、ダメでしたー。応援実らず2-3で試合終了。ガッツポーズは出来なかった。でもいい試合でしたよ。マルちゃんも頑張りましたよ。球場のみんなが一体になって集中して応援する雰囲気を味わえた良い試合でしたよ。拍手をしてねぎらうことしか出来ないけど。5位と6位の消化試合でも。結果として僕が球場に着いてから贔屓チームが1点も獲ってなくても、サヨナラの場面で凡退してしまっても、本当に楽しかったです。えのきどさん、青空さん、トモノさんと一緒だったのも含めて、自分にとっては思い出に残る良い試合でした。マルティネス投手を思い出すとき、僕はこの試合のことも思い出すことでしょう。この試合を見ることが出来て良かったな。

えのきど「1人遅れて合流すると、その人だけ点入ったの見てないことあるよねー。しずかーにしてるしかなーい!」

 この試合、ニック・マルティネス投手は7回115球、自責点2の粘りのピッチングながら今季7敗目(2勝)、防御率4.62でシーズンを終えました。そしてちょうどこの原稿を書いていた11月24日、球団は来季の契約について交渉をせず自由契約にすることを発表しました。とってもさびしいです。ありがとう、マルちゃん!!

 ※ちなみに文春ファイターズ斉藤こずゑさんはもちろん試合中、HBCラジオでお仕事されてました。逆に札幌ドームの平日ナイターはご覧になれないんですよね。おつかれ様です。

コロナ対策の一環ですね。応援旗のサイズ制限。今シーズンはコロナとの闘いでした。 ©ビーバー池田

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