昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ベイスターズファンにも言わせてほしい……俺たちのセ・リーグをこれ以上バカにするな!

文春野球コラム 日本シリーズ2020

 この4連敗は、セ・リーグのファンとしてもきつい。

 トラウマになりそうな凄まじいシリーズだった。ソフトバンクが2年連続4勝0敗ストレート勝ち。第1戦絶対エースの菅野が、若い栗原陵矢にいいようにボコられる。第2戦全員に袋でボコられる。第3戦ノーヒットでボコられる、第4戦初回電光石火の先制でイケると思わせといて、裏に柳田悠岐のひと振りでボコられる。あの強かった巨人が成す術もなく惨敗を重ねていた。毎試合、手を変え品を変え、バリエーションを変えて、応援する者の心を折るように。

 誰の心の中にもぼんやり現れた岡崎郁がつぶやく。この敗戦は、もはや巨人だけでなく、セ・リーグ全体の低迷ではないか。シーズン中にも「セ・リーグは1強5弱」。「巨人が強いんじゃなくて他が弱いだけ」なんて声をいろんなところで聞いたが、おじさんは断固として違うといいたい。我々が戦い、敗れた、巨人軍はまぎれもなく強かった。序盤の7月にヤクルトが一瞬首位に立った以外は、もうずっと独走だったもの。

 対戦成績は12勝12敗。ベイスターズはその巨人に唯一互角の勝負をしたのが自慢とはいえ、シーズンの大勢が決まった最後の1か月で6連勝の帳尻だ。皆さんご懸案の9月3日東京ドーム、パットン奇襲で、2回13失点の大惨敗を喫したゲームを筆頭に、勝負どころはことごとくやられた印象だ。坂本岡本丸に、吉川尚輝やら大城にやられ。増田には、あの柴田の超ファインプレイのバックホームを巧みにかいくぐられて卒倒した。納得だ。巨人はセ・リーグの代表にふさわしく勝ち上がったのだ。

あの時の巨人は、いつも傲慢だった

 しかし、ソフトバンク。強いのにおごらない。工藤監督、優勝インタビューで目を真っ赤にして、このシリーズに対する本気を感じさせた。さすがは元祖ベイスターズおじさん。いや、どんな相手にも隙を一切見せなかった黄金西武の遺訓というべきか。

 結局、人間下に見られることがたまらなく嫌なんですよ。なにくそという反発は間違いなく爆発的な力を呼ぶ。

 あの時の巨人は、いつも傲慢だった。クロマティが頭をね、「ここが違う」と、やるんだよ。遠藤が稲妻のようなすごいフォークを投げても、なぜか原だけはバッチリ打ち返しやがる。中畑清は(その後許されました)。日本テレビ「ズームイン朝!」プロ野球イレコミ情報。あの司会者の尊大な態度に、阪神・中日・広島ファンらは朝からカリカリカリカリさせられたと聞くが、大洋とヤクルトとパ・リーグなんてないものとされていたのだ。(その後、大洋末期に登場した「ひげくじら」こと魁三太郎さんは愛しています)。

 小学校のクラスにわずか4人の大洋ファンは、いつも休み時間に教室の隅で「欠端がいかにタフなのか」「新浦の変化球はおそらく奇術の類だ」なんて話をしながらめくるめく楽園の時間を過ごしていた。楽しかった。幸せだった。なのに、大洋が好きというだけで日陰者扱いだ。卒業アルバム。巨人ファンの友人に書かれた「大洋は今年も最下位だな。巨人は優勝」の文字。ほんの悪戯心で書いたんだろ。わかるよ。だけど知らなかっただろう。何気なく書いたテメェの寄せ書きを、30年間、見返す度におじさんは「テメェみてえな尻馬巨人ファンには俺たちの気持ちなんて一生わかんねぇよ」と怨嗟の炎を燃やしてきたことを。

 プロ野球である以上、勝敗という結果が絶対的な評価になることは揺るぎようのない事実である。あんたらは強い。でも、強いからってなんなんだ。おまえら、目先の数字だけで判断するんじゃねえよ。俺たちのこの選手たちがどんだけカッコいいのか、どれだけ本気で応援しているのか、何も知らないくせに、たかが負けたぐらいで否定するんじゃねえよ。

 ずっと、そんなことを考えてきた。