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桑原、京山、阪口……元選手が本気で考えた「新生ベイスターズ」は誰に期待すればよいのか

文春野球コラム 日本シリーズ2020

2020/11/25

 つい先日、ベイスターズの新監督に三浦大輔氏が就任し、ファンの皆さんも期待に胸を膨らませていることと思います。

 ここ数年は常に優勝候補に名を連ねていたベイスターズ、ただシーズンを終えてみると2019年の2位が最高で、今シーズンは4位という結果に終わりました。

 そしてロペス選手、パットン投手が来季は契約をしないと発表されています。また梶谷隆幸選手と井納翔一投手がFA権を行使した場合やソト選手がメジャーや他球団と契約した場合、戦力の大幅ダウンは覚悟しないといけないかもしれない。

 私自身、ベイスターズの元捕手というより、一ファンとしてそれは考えたくはないことですが、来期のスタメンの中に梶谷選手とソト選手がいなかった場合、誰がその代わりとなり得るのか、三浦大輔新監督は2軍で見てきた選手の中で誰を戦力と考えているのか。

 久しぶりの投手出身監督ということで、強打を売りにしていたチームにどういった“変化”をもたらすのかは非常に興味があるところです。

12球団トップクラスの守備を誇る男、桑原将志

 ここ数年熾烈な争いをしているのが外野手。乙坂選手、神里選手など能力や実績もあるのにレギュラー陣が強烈なため控えに甘んじている選手や、規格外のパワーを誇る細川選手、天性のバッティングセンスを持つ楠本選手も来季はさらに目の色が変わるはず。

 しかしここで忘れてはならない選手がいます。

 横浜の背番号1を背負い、チームのムードメーカーでもある桑原将志選手。私の同期(2011年ドラフト)でもあります。走攻守揃った選手であることは皆さんもご存じだと思いますが、ここ数年はなかなか1軍で活躍する姿を目にしていません。

 ですが桑原選手ほど、キャッチャーから見ていて安心な選手は他にいないのです。

桑原将志 ©文藝春秋

 桑原選手の魅力は思いっきりの良い打撃と何より『守備範囲』だと思います。

 キャッチャーは全てのポジションが見える位置にいるので、打球の反応や落下地点までの速さなどが全てわかります。

 選手の中には、打者がインパクトをし、打球が飛んでいるにも関わらず、まだスタートを切っていない選手もいます。正確には反応が遅いということなのですが、桑原選手はその反応がめちゃくちゃ速いのです。単に足が速いから守備範囲が広いのではなく、打者がインパクトをして、キャッチャーが打球を目で追うころにはもうスタートを切っている。まるで打つ前から動いているのかと思うくらいの速さ。

 私はキャッチャー出身ということもあり、チームを編成するにあたって守備力が非常に重要であると考えています。要は点を与えなければ負けることは無いからです。

 そして外野の守備力は投手の防御率に直結します。それはそうですよね、抜ければ確実に長打になるわけですから。

 桑原選手が守備につくことで、今までの打ち勝つ野球から『守り勝つ』野球もできるチームになり「あの1点がなければ」なんていう試合を勝ちゲームにすることが可能になってくるはずです。頑張れ、クワ。

新監督の下で期待したい若き二人のエース候補

 今シーズン、エース今永投手が離脱した後も、平良投手の活躍や、大貫投手の二桁勝利などがベイスターズ先発陣を牽引してきましたが、豊富な中継ぎ陣を存分に生かす為にも、先発陣の戦力強化は急務と言えます。

 そこで、私が大いに期待を寄せているのが、阪口皓亮投手と京山将弥投手です。

 両投手ともに150キロ近い速球に加え、カーブ、スライダー、ツーシーム、カットボール、スプリットと、豊富な変化球を投げ分けることができます。

 右の強打者や、外国人に対してもインコースへ強い球を投げ切るメンタルもありますし、決め球の変化球はどれをチョイスしても十分に三振を狙えます。

 ただ、まだまだ課題は残っています。

 それは、『コントロール』です。決め球が高めに浮き、いい追い込み方をしても打たれることもしばしば。突如ストライクが入らなくなり、ストライクを欲しがったところを痛打されるなど、いくらいいボールを持っていたとしても、今のままでは一軍で勝ち続けるのは難しいかもしれません。

 シーズン中、先発投手は何度も同じ打者と対戦するわけで、相手もどんどん対策を講じてきます。この打者との『駆け引き』の中で勝つためには、全てのボールをコントロールする必要があるのです。

 キャッチャーをやっていて思うのは、球は速いに越したことは無いですが、別に150キロを投げなくてもいい。140キロを150キロに見せるテクニックだったり、緩急だったりと、打者を抑える術はいくらでもあるのです。

 それはまさに、三浦大輔新監督の現役時代がそうでした。投球練習では本当に構えたところにしかボールが来ないんです。私が初めて現役時代の三浦投手のボールを受けたのは、入団して2年目の時。その時はあまりのコントロールの良さに衝撃を受けたのを覚えています。

 三浦新監督の下、両投手が今の能力に加え、さらに現役時代の三浦監督さながらの『コントロール』という武器を手にしたとき、必ずやベイスターズの投手陣を引っ張っていく存在になると私は確信しております。