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刀で十数カ所をメッタ刺し…トランプと対決した日本人ギャンブラーは、なぜ血の海の中で死んだのか

2020/11/13
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海外のカジノで有名人に

 柏木氏は80年代に海外のカジノへ行ってバカラを覚え、のめり込んだ。

 90年の年明け、豪州ダーウィン市のカジノに通って約30億円勝ち、世界で名が知られるようになった。ロバート・デ・ニーロ主演の映画『カジノ』(95年)では、柏木氏をモデルにした日本人が登場する。

写真はイメージ ©️iStock.com

 2月、マイク・タイソンとジェームズ・ダグラスのヘビー級タイトルマッチが東京ドームで行われた時、トランプ氏が来日し、対戦前夜にタイソンの部屋を訪問して柏木氏と面会した。

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 トランプ氏が大統領に就任した16年2月、アメリカの政治専門メディア「ポリティコ」が、トランプ大統領と柏木氏の死闘を振り返っている。

 トランプ氏の招待に応じ、柏木氏はニュージャージー州のカジノ「トランプ・プラザ」へ。1回25万ドル(当時のレートで3750万円)を掛け、2日間で600万ドル(同9億円)勝った。

『ここまで取りに来い!』と逆ギレした柏木氏

 雪辱を果たすべく、トランプ氏は著名な数学者を招聘し、カジノ側が勝つためには「できるだけ長く勝負を続けること」という分析を得た。5月、2回目の戦いでは、柏木氏は1200万ドル(同18億円)のチップを持ち、それを2倍にするか、すべてを失うまで勝負を続けるという条件を呑んだ。最初の数日間は柏木氏が勝っていたが、6日後に負けは1000万ドル(同15億円)を超えていた。

トランプ氏 ©️JMPA

 柏木氏はその後勝てなくなり、殺された時はアメリカのカジノに少なくとも900万ドル(同13億5000万円)の借金があったと報じられている。

「カジノの利益の源泉はハイローラー(高額を掛けるギャンブラー)。ジャンケット(仲介業者)やカジノ自身が渡航費や宿泊費を負担して招待し、負けの清算も後日。その回収に対し、柏木さんは『ここまで取りに来い!』と逆ギレし、見せしめのために殺されたと囁かれましたが……」(関係者)

 山梨県警は犯人を捕らえることが出来ず、この凄惨な事件は15年後の07年1月に時効が成立している。

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