秋本治のマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(略称『こち亀』)は、いまから41年前のきょう、1976(昭和51)年9月21日発売の『週刊少年ジャンプ』42号より連載がスタートした。

 当時23歳だった作者の秋本治は、『こち亀』の舞台である東京の下町・葛飾区出身。ヤングジャンプ賞に同作を投稿して入選し、まず単発で『少年ジャンプ』1976年29号(6月22日発売)に掲載されてデビューした。主人公の巡査・両津勘吉のほか、彼の同僚で財閥の御曹司の中川圭一もこの単発版にすでに登場している。ただし、このときの作者の名義は「山止(やまどめ)たつひこ」と、当時の人気マンガ『がきデカ』の作者・山上たつひこの名をもじったペンネームだった。これは連載でもそのまま採用された。しかし、このあと、秋本は大それたことをしたと編集部に申し入れ、『ジャンプ』1978年41号の連載100回目より本名に改める。ちなみに、両津の同僚の女性警官・秋本麗子は、秋本治の名前を定着させるため、当初は一発キャラの予定で登場させたものだとか。

2016年には、第64回菊池寛賞を受賞 ©鈴木七絵/文藝春秋

 スタート時の『こち亀』は、劇画調のシリアスなタッチで、両津も何かにつけて拳銃を撃ちまくる、かなりこわもてなキャラクターだった。それが年を追うごとに、両津はマニアックだったり、人情に篤かったりとさまざまな面を見せるようになる。登場人物も増え、作品の世界はどんどん広がっていった。1983年には連載7周年を迎え、『少年ジャンプ』では最長となり、以後も記録を伸ばし続ける。

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 その『こち亀』も連載開始から40周年を迎えた昨年9月、ついに『ジャンプ』での連載を終了した。連載中、秋本はいつも5週ぐらい先の回までは書き溜めるよう心がけていたという。おかげでこの間、長期入院することもあったが、休載は1度もなかった。ここまで続けられたのも、秋本がマンガを描くことが何より好きだったからだろう。連載30周年のとき行なわれた座談会では、同時期に『ジャンプ』でデビューしたマンガ家仲間から「描きたくないときとかないの?」と訊かれ、「うーん、ないねぇ」と答えている(週刊少年ジャンプ特別編集『超こち亀』集英社)。なお、『こち亀』は連載終了から1年が経った先ごろ、読み切りとして『ジャンプ』(9月16日発売の42号)誌面に久々に登場した。

発売日を迎え、書店に設けられた『こち亀』最終回を載せた「週刊少年ジャンプ」とコミックス第200巻の専用コーナー(東京都葛飾区・TSUTAYA亀有店) ©共同通信社