1ページ目から読む
3/5ページ目

風呂場で住人が亡くなった部屋では……

松原 ご遺体はもちろん警察に引き取られるんですけど、その後の部屋を遺族だったり、大家から依頼を受けてきれいにする仕事です。たとえば、お風呂場で住人が亡くなった部屋に行ったときは、窓ガラスや浴室のドアの隙間なんかに、虫の卵がたくさんくっついていたんです。

――虫?

松原 ハエですね。ハエの卵やらサナギの殻やらがいっぱいくっついてるんで、それを取って、特殊な液できれいにするんです。

ADVERTISEMENT

©松原タニシ
事故物件を特殊清掃する松原氏 ©松原タニシ

孤独死部屋から出てきた“意外な写真”

松原 他にも、70代のおじいさんが亡くなった部屋を特殊清掃したことがありまして。息子さんが依頼をしてきたんですが、大阪の文化住宅といって、古い長屋の一室でおじいちゃんがひとり暮らしをしていて、亡くなったあともしばらく誰にも発見されなかった部屋です。

 特殊清掃では一応、部屋を片づける前に、何を残して何を捨てたらいいかを依頼者から聞くんですけど、その息子さんが「私の成人式の写真があったら、残しておいてください」と。あとは現金とか金目のものがあったらとっておいて、それ以外は全部捨てちゃってくださいと言われまして。

今年の「いごくフェス」のテーマは「シン・密」だった

 それでとりあえず、写真は捨てずに全部集めておいたんです。なかには、先に亡くなった奥さんの写真も残ってまして。ただ、それ以外にも100枚ぐらい写真が出てきたんですよ。

――どんな写真が?

松原 これがね、阪神時代の鳥谷選手の写真なんです。鳥谷が100枚出てきて。

――家族の写真じゃないんですね(笑)。