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松原 鳥谷しかないんですよ(笑)。息子さんの成人式の写真なんてまったくない。亡くなったお父さんはタイガースファンで、年間予約シートのカードだとか、ファンクラブ会員のカードだとかを残していて。息子さんとも離れて暮らしている中で、野球が、タイガースがこのお父さんの心の支えだったんだろうなと。

――これ、ある意味では家族も知らないお父さんの趣味だったりとか、生きざまみたいなものを、タニシさんのほうがわかってしまう、感じてしまうという……。

©Jouji Suzuki

孤独死する前の人生と向き合う

松原 浮かび上がってくるんですかね。なんだろう、それぞれの人生があって、それが全部つながっていて、それでも必ずしも幸せなことばかりでもないというか……。そんなことが発見ですよね。

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 僕たちは死者を面白がっちゃいけないとか、そういう道徳的な教育も受けてきたわけですけど、そうするとたとえば孤独死でいえば、溶けた状態で発見されたとか、虫がわいてる状態で……ということばかりがフィーチャーされてしまいますよね。でも、そうじゃなくて、ずっと生きてきたその人の人生がある。それを、たとえば「笑い」という形で語ることもアリなんじゃないかと思うんです。

特殊清掃を行う松原氏 ©松原タニシ

――確かに「死」って、そもそも語ることが難しいし、語ってはいけないものという面もある。それをタニシさんがネタにして「笑っていいじゃん」と言ってくれることで、死について考え直したり、語ったりするきっかけになるのかもしれないです。

松原 それに気づかせてくれたのは、この「いごくフェス」なんですけどね。

映画でも不思議なことが起きていた?

――今年は、そんなタニシさん原作の映画『事故物件 恐い間取り』も公開されまして。

松原 そうなんです。おかげさまで大ヒットしまして。ただ、この映画も色々と不思議なことが起きているんです。映画のワンシーンで「助けて!」という声が聞こえただとか、何か白い変なものが塀の裏側からぴょこんと出てくるだとか……。そんな感じで、いわくつきの映画になっているんですけれども。