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廃校跡地で2人目の死者が…大島てるが語る「建設中に事故物件化した高級マンションの悲劇」

事故物件サイト運営人が教える“忘れられない物件” #1

2020/12/05
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トイレで刺殺されたのは……

 廃校後、たくさんの教室に分かれているもともとの構造を活かして、その校舎はベンチャー企業がオフィスとして使ったり、外部の人がセミナーなどを行う施設として改装されました。そこで開かれたイベントに講師として呼ばれた著名なブロガーが、講演後にトイレに入ったところ、ネット上でトラブルになっていた面識のない男からナイフで刺され、殺害されたのです。

 当時は非常にセンセーショナルに報道されたこともあり、この事件のことは記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。私自身、殺害されたブロガーの方のことは存じ上げていなかったのですが、「ネット上でトラブルになった相手に襲われる」というのは衝撃的で、個人的にも恐怖を感じました。

©iStock.com

 結局、この元小学校は廃校からわずか5年ほどで、校舎側でも校庭側でも別々に死者を出してしまいました。だからといって、この先再び何かが起きる……ということではもちろんありませんが、これだけ短い期間で次々に“事故物件化”してしまうのは、非常に珍しいケースだと言えます。

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同時期に起きていた「事故物件の隠蔽」

 その小学校が廃校になったのとほぼ同時期に、福岡ではもう一つ、事故物件にまつわる“事件”が起きていました。それは、アパマンショップホールディングスによる「事故物件の隠蔽」です。

 アパマンショップは大手の不動産仲介業者ですが、そんな有名企業が福岡市内の2軒のマンションについて、以前の入居者が自殺したことを伏せたまま、新たに部屋を貸し出していたのです。宅建業法により、事故物件の契約の際には業者に“告知義務”が発生するため、事故物件であることを隠蔽して貸し出すのは違法です。

※写真はイメージです ©iStock.com

 そのうちの1軒では、1月に自殺が起きたマンションを、なんと直後の3月には何も知らない新たな入居者に貸し出していました。その事実が、内部告発によって明るみに出たのです。

 内部告発した社員は、隠蔽に関わった当事者ではありませんでしたが、社内での情報の取り扱いがずさんだったために、結果的にその人の目に触れることになったようです。最終的には国土交通省からアパマンショップが注意を受ける、といったところまで話が広がり、このときもかなり大きなニュースになりました。