前回は福岡県に焦点を当てて、廃校後に“校庭”と“校舎”で相次いで死者が出た元小学校と、前の入居者が自殺した過去を隠蔽された事故物件を紹介しました。しかし、私が運営する事故物件の情報サイト「大島てる」には、ほとんどの人が住みたくないはずなのに、掲載できない物件もあるのです。
それは一体どんな物件なのか――。今回は、ある殺人事件から話を始めましょう。(全2回の2回目/前編から続く)
高校1年生の女子生徒が起こした殺人事件
福岡市で歴史ある小学校が廃校になり、大手仲介業者による事故物件の隠蔽が明るみになったその年、西に約100キロ離れた長崎県佐世保市では、高校1年生の女子生徒が自宅マンションで同級生を殺害するという、衝撃的な事件が起きました。
犯人の女子生徒は、殺害後、被害者の首や左手首を切断するなどしており、そうした猟奇的な面にも大きな注目が集まった事件です。
当時、犯行現場となったマンションで、犯人は一人暮らしをしていました。しかし、それは実家から離れた高校に通うため……などといった理由ではありませんでした。母親は事件の前年に病気で亡くなっていましたが、父親は同じ市内の一戸建てに住んでいたからです。
激化した父親へのバッシング
しかし、事件の2ヶ月前に父親は新たな女性と再婚。その父親と離れて暮らすため、犯人はまだ高校1年生だったにもかかわらず、マンションで一人暮らしをしていたのです。
そうした複雑な家庭環境が明らかになるにつれ、「父親の存在が事件の引き金になったのではないか」と分析する専門家も現れ、ネット上では父親へのバッシングのみならず、その個人情報を晒す人まで出てきました。