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Hさんの入念な準備や努力

「でも、1~2年くらい前から、SNSにハンチングの下から前髪がチラ見えしているHの写真がアップされるようになったんです。知り合いのあいだでも『Hに前髪がある……』と話題になりました。なにせ、サウナのときは前髪もなかったので」

 Hさんの前髪の謎が深まっていたある日、久々に一緒に飲む機会があった鈴木さん。その日も、鈴木さんはHさんに驚かされる。

「帽子もかぶらず、ふさふさの髪で入店してきたんですよ。その姿を見て(SNSの写真はお披露目に向けた伏線だったのか……)と、腑に落ちました。植毛をしたのかもしれないけど、当然、触れられないので、普段どおり接しましたね」

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 ハンチングキャラの確立やSNS写真での伏線と、Hさんの入念な準備や努力が偲ばれる。

©iStock.com

コンプレックスと向き合う戦い

 鈴木さんのケースのように“周りは気づいているが、本人には言えない”という声は多い。

「某有名芸能プロダクションの元社長は、30代後半からカツラをかぶっていた。一目でわかる不自然さで、家族から仕事仲間にまでバレバレだったが、本人は頑なに髪の話題を避けていたし、プライドが高いタイプなので誰もツッコめない」(43歳・放送作家)

「どんなときも帽子を脱がないことで有名だった42歳の友人。おしゃれで落ち着いた雰囲気で、ハゲているのは薄々気づいていたが、誰も触れなかった。

 ある日、彼が飲み会に年下の彼女を連れてきたのでみんなで飲んでいると、酔った彼女が『知ってます? この人ハゲてんの!』と大暴露。さらに彼の帽子を無理やり取ろうとするので、彼が必死に『やーめーろーよー!』とうずくまってしまった。そういうノロケプレイだったのかもしれないが、頼むから家でやってくれ……」(46歳・人材サービス)

 体型の変化は節制やトレーニングでも改善できるが、失った毛髪は戻ってこない。コンプレックスと向き合う戦いに、終わりはあるのだろうか。